研究課題/領域番号 |
23790114
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
鳥取部 直子 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (70322576)
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キーワード | 糖尿病 / バイパス血管 / 薬理学 |
研究概要 |
平成 24 年度、本研究において、糖尿病患者バイパス血管の長期開存を目指したRho/Rhoキナーゼ阻害薬の有用性について以下の点を明らかにした。 1. Rho/Rhoキナーゼ阻害薬(塩酸ファスジル)は、糖尿病患者バイパス血管(内胸動脈および大伏在静脈)におけるセロトニン(5-HT)の血管収縮反応を有意に抑制し、糖尿病患者バイパス血管における有意な反応性増強を消失させた。 2. Rho/Rhoキナーゼ阻害薬(塩酸ファスジル)は、糖尿病患者バイパス血管(内胸動脈)におけるノルアドレナリン(NA)の血管収縮反応を有意に抑制し、糖尿病患者バイパス血管における有意な反応性増強を消失させた。 3. Rho/Rhoキナーゼ阻害薬(塩酸ファスジル)は、糖尿病患者バイパス血管(大伏在静脈)におけるアンギオテンシンII(AngII)の血管収縮反応を有意に抑制し、糖尿病患者バイパス血管における有意な反応性増強を消失させた。さらにその消失の程度は大きかった。 本年度の研究結果より、Rho/Rhoキナーゼ阻害薬(塩酸ファスジル)は、糖尿病患者バイパス血管における各種生理活性物質 (5-HT, NA および AngII) の収縮反応に対し、有意な抑制作用を示すこと、さらに、糖尿病患者バイパス血管で見られる各種生理活性物質の血管収縮増強作用を抑制することが明らかとなった。また、各種生理活性物質の中でも特に AngII による糖尿病患者バイパス血管の反応性増強に対して、著明な抑制効果を示す可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、糖尿病患者バイパス血管における各種生理活性物質の血管収縮反応に対する Rho/Rhoキナーゼ阻害薬(塩酸ファスジル)の影響について検討した結果、糖尿病患者バイパス血管の反応性増強に、Rho/Rhoキナーゼ系の亢進が関与し、塩酸ファスジルが糖尿病患者バイパス血管れん縮に有効性を示す可能性を示唆する結果が得られた。このことから、本研究の目的である糖尿病患者バイパス血管の長期開存を目指したRho/Rhoキナーゼ阻害薬の有用性について、薬理学的、基礎的知見を提供することができたことから、本年度までに実施した研究の進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、トロンボキサンA2やトロンビンなどの血小板由来収縮物質に対する Rho/Rhoキナーゼ阻害薬(塩酸ファスジル)の影響について検討していくとともに、各種生理活性物質の中でも特に AngII による糖尿病患者バイパス血管の反応性増強に対して、著明な抑制効果を示したことから、AngII による糖尿病患者バイパス血管の反応性増強のメカニズムを明らかにし、その抑制効果について詳細に検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
トロンボキサンA2 やトロンビンなどの血小板由来収縮物質に対するRho キナーゼ阻害薬(塩酸ファスジル)の前処置の影響を検討し、さらに、AngII 受容体に対する抗体を用いたウエスタンブロット法により、糖尿病患者のバイパス血管反応性増強に関与する細胞内シグナルタンパク質と受容体タンパク質の同定および定量を行う予定である。従って、血小板由来収縮物質や AngII、各種抗体およびウエスタンブロットを行う上での消耗品の購入に研究費を使用する。
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