研究課題
若手研究(B)
細胞治療薬開発を目的とした心筋細胞の効率良い発生・増殖のためには、多能性幹細胞からの心筋分化メカニズムを理解することが必要である。心筋分化における特性が異なるP19CL6 細胞サブラインを単離し、トランスクリプトーム解析により心筋分化に関連する24 遺伝子(CMR 遺伝子)を抽出した。マウス胚性癌細胞(EC 細胞)においてRNAi によりCMR 遺伝子をノックダウンし、心筋細胞に分化させたところ、18 のCMR 遺伝子で自 発的拍動もしくは心筋特異的マーカー遺伝子発現量に影響が見られた。マウス胚性幹細胞(ES 細胞)においても検討したところ、AW551984、prostamide/prostaglandin F synthase、Cd302 のノックダウンによって、EC 細胞とES 細胞に共通して心筋分化の程度に変化が観察された。 AW551984 のノックダウンは、多能性および中胚葉への分化に影響を及ぼすことなく、心筋特 異的転写因子であるNkx2.5 の発現を抑制した。さらに、Wnt/β-catenin シグナルは胚葉体形成時 におけるAW551984 とNkx2.5 の発現を増強した。これらのことから、AW551984 はWnt/β-catenin シグナルによるNkx2.5 発現を調節することにより、心筋分化を制御することが示唆された。
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