研究課題/領域番号 |
23790124
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小暮 紀行 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80396689)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アルカロイド / アセチルコリンエステラーゼ / リコポジウム / ヒガンバナ / 不斉全合成 / 構造決定 |
研究概要 |
1、分子内Diels-Alder反応を鍵反応としたLycorineおよびその誘導体の全合成Lycorineの1-O-アセチル誘導体に認知症治療薬ガランタミン(レミニール)と同程度の強力なアセチルコリンエステラーゼ阻害活性が認められたことから、リコリン誘導体が新しい記憶障害改善薬開発のためのリード化合物となる可能性が十分にある。そこで、リコリン誘導体の効率的全合成ルートの確立を目的とし、研究に着手した。 鍵反応として分子内Diels-Alder反応を設定し、全合成研究を行なった。Diels-Alder反応の前駆体として設定した化合物を合成することはできたが、Diels-Alder反応が加圧条件においても進行しなかったため、基質の変更を余儀なくされた。基質をアミドフラン化合物に変更したところ、Diels-Alder反応は進行したが、その後に副反応が起こり、望まない共鳴安定化された化合物が得られた。現在、新たな反応前駆体を設定し、合成を検討中である。2、分子内Diels-Alder反応を鍵反応としたLycoposerramine-Rの全合成 リコポセラミンRは当研究室にて単離・構造決定された新規アルカロイドであるが、単離したリコポセラミンRは微量であったため、その生物活性の評価は未だ行っていない。そこで、活性評価用のサンプル供給と絶対配置の決定を目的として、全合成研究に着手した。市販のシクロペンテノンから、鈴木カップリング、分子内Diels-Alder反応、ワートン開裂を鍵反応として、重要中間体となる三環性化合物の合成に成功した。その後、カルボニル基を足掛かりとし、低収率の段階もあるがピリドン環の構築に成功し、リコポセラミンRの全合成を達成した。今後は収率および合成ルートの改善と不斉化を検討していく予定である。また、合成中間体や各種誘導体について活性評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「2、分子内Diels-Alder反応を鍵反応としたLycoposerramine-Rの全合成」は当初の計画通り進行しているが、「1、分子内Diels-Alder反応を鍵反応としたLycorineおよびその誘導体の全合成」が研究計画と比較して遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した「1、分子内Diels-Alder反応を鍵反応としたLycorineおよびその誘導体の全合成」が研究計画と比較して遅れているが、平成24年度の研究計画に記載した「分子内 [4+2] / [3+2] 連続環化反応を用いたLycorine誘導体の効率的合成」が相補的な役割を果たすと考えられるので、平成23年度分の研究の遅れは取り返すことができると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、全合成研究のスケールを比較的少量で行っていたため、研究資金が余ってしまった。例年ではもう少し大きなスケールで研究を進め、合成ルートが確立された時点で大量に試薬類を購入していた。今年は基金化に伴い、試薬類を使用するかなり前から購入するということを避けることができたため、予算が余っているように感じられるが、そのようなことではなく、研究単位が2年間となった考えれば例年とほぼ変わらない。 よって、使用計画は大きく変わることはなく、全合成を効率的に進め、活性評価用のサンプルを充分量供給できることを目的に、試薬、溶媒類に研究費を使用する予定である。
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