研究課題
若手研究(B)
申請者らが開発したタンパク質ノックダウン法は、ユビキチンリガーゼの1種cIAP1と標的タンパク質の双方に結合する低分子により、標的タンパク質の分解を人工的・特異的に誘導する方法である。本研究では、タンパク質ノックダウン法を応用して、低分子の標的タンパク質の同定法と、異常コンフォメーション特異的な神経変性疾患原因タンパク質の分解誘導の2テーマについて取り組んだ。前者については、標的タンパク質が既知な化合物とcIAP1リガンドを連結した化合物を用いてコンセプト確認を行った。具体的には、細胞株に化合物を処理した後、細胞溶解物を二次元電気泳動し、減少したスポットを質量分析したところ、実際に既知の標的タンパク質が同定できた。次に、標的タンパク質がほとんど未知である生理活性物質とcIAP1リガンドを連結させた化合物を3種合成し、標的タンパク質同定を検討している。一方後者については、異常凝集型タンパク質リガンドとcIAP1リガンドを連結した化合物を2種類合成した。この化合物が、異常凝集型タンパク質の特徴的構造であるポリグルタミンペプチドに結合することを確認した。更に、神経変性疾患患者由来の細胞にこれらの化合物を処理したところ、ポリグルタミン抗体で染色されるタンパク質の量が減少する結果が得られた。
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