研究概要 |
乾燥γ-CDをピリジン中Molecular sieves存在下においてBiphenyl-4,4'-disulfonyl dichlorideと室温で反応させることにより,6A,6D-ジスルホニル-キャップド-γ-CDを合成した(収率20%)。続いてキャップド-γ-CDをDNF中ヨウ化カリウムと反応させることにより6A,6D-ジヨード-γ-CDへと変換した(収率37%)。次にジヨード-γ-CDを炭酸セシウム存在下のDMF中において過剰量のtert-Butyl N-(2-mercaptetyl)-carbamateと反応させることにより6A,6D-di-(Boc-aminoetylthio)-γ-CDへと変換した(収率76%)。これはγ-CDの8個の一級水酸基の内、2つの水酸基をN位Boc保護されたアミノエチルチオ基で置換した化合物であり、今後、アミノ基を保護しているBoc基を外し、続く還元的アミノ化反応により適切なリンカーで2つのCDを連結することに成功すれば、望む二重架橋CD二量体の合成を達成できると期待される。 上記の合成法検討段階で用いているADジ置換γ-CD誘導体は非対称な構造を持っており、これを用いて二重架橋CD二量体を合成した場合、連結する順番により二通り、すなわち2つのCD環構造が綺麗に重なる場合とずれて重なる場合の二つの構造異性体が考えられる。実施計画書でも指摘している通り、今後、当該研究は対象な位置関係にあるγ-CD一級水酸基、すなわち6A,6E位にある一級水酸基を置換した誘導体を用いる予定である。これにより得られる二重架橋CD二量体は一種類のみと考えられる。現在までにADジ置換体と同様の手法により6A,6E-ジヨード-γ-CDの合成を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
6A,6D-ジヨード-α-CD および 6A,6E-ジヨード-γ-CD を二重架橋CD二量体の前駆体として合成する。続いてN-Boc-2-アミノエタンチオールによる求核置換反応を行い、その後の脱保護によるアミノ基の生成により二つのリンカーを一級水酸基側の対称位に有するα-及びγ-CD誘導体を調整する。さらにこのアミノ基を有するCD誘導体を二つのカルボニル基を対称位に有する分子と還元的アミノ化反応により連結させることにより二つのCD誘導体の二重連結を検討する。還元的アミノ化反応を利用するのは、比較的緩和な条件で選択的に反応し、また有機溶媒だけではなく水系溶媒中においても利用できるので条件検討が容易であると考えられるからである。また、昨年度に続いてジアジド-CD と末端にプロパルギル基をもつリンカー分子をヒュスゲン環化反応により連結し望む二重架橋CD二量体を合成する試みも続ける。鎖状のりんカー二本で連結された対称な構造をもつ二重架橋CD二量体の合成に成功した後、鎖状のゲスト分子との錯体形成、及びその構造と機能について検討する。
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