本研究では、妊娠ラットへのダイオキシン(TCDD) 曝露が胎児期の性ホルモン合成系障害を起点として出生後にゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH) 低下を固定し、性未成熟を規定するとの新規機構を見出した。成果は以下の通り。 1) TCDD による出生児のGnRH 低下は 4 日齢より成長後まで継続する。 2) TCDD 曝露母より出生した雄児脳へのGnRH 補給はTCDD 依存的交尾行動障害を改善する。 3) TCDD は胎児期に性ホルモン合成を障害するが、TCDD 曝露胎児への生殖腺刺激ホルモンの補給により出生後のGnRH 低下が起こらなくなる。
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