CYP3A7はTHC、CBD、CBNによって同程度阻害された(IC50値23-31μM)。CBDによる阻害の速度論的解析を行ったところ、混合型の阻害様式を示し、Ki値は12.3μMであった。CYP2J2はTHC、CBD、CBNによって阻害され、Ki値はそれぞれ1.06、0.705、0.229μMであった。THCとCBNの阻害様式は混合型を示したが、CBDは競合型を示した。CYP4A11に対するTHC、CBD、CBNの阻害効果はいずれも弱かった(IC50値50μM以上)。CYP4F2に対するTHC、CBD、CBNの阻害効果(IC50値)はそれぞれ15.8、7.42、11.9μMであり、CBDが最も強く阻害した。また、CYP4F3Bに対するTHC、CBD、CBNの阻害効果(IC50値)はそれぞれ13.3、9.39、11.2μMであり、CYP4F2と同様、CBDが最も強い阻害作用を示した。CYP4F12はTHC、CBD、CBNによって同程度阻害された(IC50値1.74-2.38μM)。CYP19に対するTHC、CBD、CBNの阻害効果は検討した最大カンナビノイド濃度(10μM)においてほとんど認められなかった。 CBD阻害における構造要求性を明らかにするために、CBDの関連化合物を用いて阻害実験を行った。その結果、CYP3A7およびCYP2J2に対するCBDの阻害にはペンチルレゾルシン構造が重要な役割を果たすが、その構造だけでは不十分であり、テルペン骨格を含めたCBD全体の構造が強い阻害作用に必要不可欠であることが示された。さらに、CYP3A7については、ペンチルレゾルシン骨格中の2つの遊離フェノール性水酸基が、CYP2J2についてはどちらか一方の遊離フェノール性水酸基、並びにペンチル側鎖がCBDの阻害作用に重要であることも明らかになった。
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