研究概要 |
金属酸化物ナノ粒子は、自動車、エレクトロニクス、パーソナルケア用品、日用品などの様々な分野で使用されている。しかしながら、種々ナノ粒子はその特徴的な粒子形状と粒子サイズなどに起因した細胞毒性を有すると考えられ、健康や環境への影響が懸念されている。また、アレルギー性気管支喘息患者の増加は環境汚染と密接な関係があることが指摘されており、今後金属酸化物ナノ粒子がアレルギー性気管支喘息の発症に影響を与える可能性が考えられる。そこで、本研究では金属酸化物ナノ粒子曝露のアレルギー性気管支喘息に与える影響を、実験的アレルギー性気管支喘息モデルを用いたin vivo実験により検討した。 感作は、BALB/c系マウスに抗原としてovalbumin (OVA)を用いてday 0、1、2、14、15および16に鼻腔から肺へ投与することにより行い、抗原惹起は、day 28、29、30、および35にOVAを繰り返し直接気管内へ投与した。また、金属酸化物ナノ粒子として酸化亜鉛は、感作時のみに抗原と酸化亜鉛を混合したものを投与した。 その結果、day 35において明らかな二相性の気道抵抗の上昇ならびに肺胞洗浄液中の炎症細胞浸潤が、OVA単独投与もしくは酸化亜鉛単独投与群と比較して認められた。また、抗原特異的IgE、Th2サイトカイン(IL-4, IL-5, IL-13)およびIL-1βの上昇も認められた。さらには、気道リモデリング(杯細胞の過形成)も観察された。 これらの結果より、酸化亜鉛はアレルギー性気管支喘息を増悪化させる金属酸化物ナノ粒子である可能性が示唆された。酸化亜鉛は感作時においてアジュバント作用を示すことで、喘息反応を増悪化していると考えられた。
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