研究課題
SLCO4C1は、ヒトにおいて腎臓で機能している唯一のSLCO(OATP)ファミリーのメンバーであり、強心配糖体、甲状腺ホルモン、メトトレキサートなどの輸送に関わっている。近年、SLCO4C1トランスジェニックラットを用いた検討結果で、SLCO4C1が尿毒症物質の排泄に関与し、血圧上昇を抑える可能性が示唆されている。しかしながら、SLCO4C1の機能解析はあまり進んでおらず、薬物動態学的意義あるいは病態生理学的意義の解明に結びつく直接のエビデンスが欠如していた。そこで本研究では、SLCO4C1の新規輸送基質の探索およびヒト培養腎細胞HK-2におけるSLCO4C1の寄与について評価した。これまでに、種々の尿毒症物質がSLCO4C1の輸送基質となることが推察されていることに関して、それら化合物のSLCO4C1発現細胞における取り込みを評価することとした。キノリン酸、インドール-3-酢酸についての取り込み評価を行ったところ、SLCO4C1発現細胞における優位な取り込みが観察された。続いて、ヒト近位尿細管由来HK-2細胞におけるジゴキシン取り込みに関して、SLCO4C1の寄与を検討した。ジゴキシン取り込みは、ウアバインの添加により25%まで取り込みが低下した。また、経細胞輸送実験を行ったところ、ジゴキシン、ウアバインともにSLCO4C1を介した側底膜輸送過程が重要であることが示された。以上の結果より、SLCO4C1は一部の尿毒症物質を輸送基質とすることが明らかとなった。さらに、ジゴキシンやウアバインなどの強心配糖体の腎排泄過程において重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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