研究課題
H24年度の解析で、血液脳関門(BBB)のP-gpの単分子輸送活性は病態(炎症・酸化ストレス)条件下において低下することが示され、in vitro実験系からin vivoでの単分子輸送活性を推定するためには、この単分子輸送活性の低下メカニズムを解明することが必須であり、この解明によって本課題の当初の目標を達成できるという見解に至った。H25年度は、最終段階として、このメカニズム解明を行うことを目的とした。あらゆるメカニズムの中から最も重要なものを解明するために、網羅的高感度リン酸化プロテオミクスの手法を用いて、病態(酸化ストレス・炎症)条件下のヒト脳毛細血管内皮細胞におけるリン酸化蛋白質のリン酸化量の変動を網羅的に解析した。その結果、最もリン酸化量の変動が顕著な分子としてcaveolin1を同定した。LC-MS/MSのSRM modeを用いた、caveolin1のリン酸化部位Tyr6, Tyr14, Tyr25及びTyr42に対する高感度定量系を用いて、各リン酸化部位を定量し、単分子輸送活性との関係を解析した結果、炎症酸化ストレス物質の過酸化水素の暴露濃度を変えることで、Tyr14のリン酸化量と単分子輸送活性が良好に相関した(R2 > 0.91)。以上より、P-gpの単分子輸送活性の変動機構を解明した。3年間の本課題を通じて、中枢疾患ではBBBのP-gpの絶対発現量あるいは単分子輸送活性が変動する病態があることを解明し、単分子輸送活性の変動機構としてcaveolin1のTyr14のリン酸化が重要であることを解明し、てんかんをモデルとして、in vitroで計測可能な単離脳毛細血管のP-gpの絶対発現量と単分子輸送活性の統合によって病態時のBBBのP-gpの輸送活性をin vitroから再構築できることを証明し、病態時の薬物脳移行性の予測法をはじめて確立することに成功した。
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