研究課題/領域番号 |
23790172
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
関根 秀一 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70401007)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 胆汁排泄輸送担体 |
研究概要 |
申請者は急性の酸化ストレス時に胆汁排泄輸送体の局在変化による機能低下を伴う肝内性胆汁うっ滞を明らかとし、そのメカニズムを解明してきた。一方でC型肝炎などの慢性肝疾患時にも胆汁排泄輸送体の膜局在性の低下による胆汁うっ滞が報告されている。これら胆汁うっ滞は胆汁酸等の蓄積により肝硬変や肝癌への病態の悪化を招く。そこで本研究では、これまでに明らかとしたMRP2の局在性を上昇させるシグナル伝達の関連因子に着目し、それら活性化、阻害剤及び利胆薬等を慢性肝炎モデルマウスにて、胆汁うっ滞の改善に伴う肝病態に対する影響を評価すると共に、ヒト肝スライス等を用いてヒトでの有効性を検証することを目的として研究を行った。本研究においては、モデルとして汎用されるLipopolysachalideの投与を行い、胆汁排泄輸送体の局在変化に関わる因子として膜裏打ちタンパク質であるRadixinとの結合が重要な因子であることを明らかとし、更にヒト及びラット肝スライスを用いて、酸化ストレスがヒトにおいても胆汁輸送体の局在に影響を与えていることを明らかとした。更に、Ethan DIGEを用いた2次元蛍光ディファレンシャル解析により胆汁輸送体の局在制御を担う可能性のある複数の蛋白質の同定に成功した。本年度の検討により得られたこれら結果は、本研究を遂行することで得られるC型肝炎モデルマウスでの検討結果をヒトに応用する際の重要な知見となることが期待され、今後に発展性のある研究結果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究計画において本年度は、MRP2の局在性を上昇させるシグナル伝達の関連因子に着目し、それら活性化、阻害剤及び利胆薬等の胆汁うっ滞の改善について評価を行い、Ethan DIGEを用いた2次元蛍光ディファレンシャル解析によりAnnexin2aをMRP2と結合する新規結合因子として同定した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、23年度に行った研究において同定したAnnexin2a等の新規結合因子について、利胆薬による影響を分子レベルで解析を行うことで、新規利胆薬となる化合物の選別を行う予定である。また、Groningen大学Geny Groothuis教授のグループとの共同研究としてヒト肝スライスを用いた検討を追加することで、動物種差等を考慮した臨床で使用可能な利胆薬の開発につながることが期待される。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ヒト肝スライスは研究のGroningen大学Geny Groothuis教授のグループとの共同研究として実施する。そのサンプルの輸送費として20万円を計上した。また細培養試薬・器具は、培養液、ウシ血清、細胞培養ディッシュを含み、これらは昨年度の消費量を参考に本研究に必要な分を算出した。一般消耗品は、ピペットチップ、遠心管、ガラス器具などを含んでいる。旅費には、本研究の成果をさらに発展させると共に広く認知させるためのオランダで開催される国際薬物動態学会への参加・発表にかかる経費を計上した。
|