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2011 年度 実施状況報告書

核酸類似薬物の消化管吸収変動機構解析

研究課題

研究課題/領域番号 23790176
研究機関富山大学

研究代表者

石田 和也  富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (90550509)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード薬物動態 / トランスポーター / 臨床試験
研究概要

核酸類似構造を有するミゾリビンの免疫抑制作用は血中濃度と密接に関連するが、経口投与後の薬物血中濃度には極めて大きな個体差が存在する。ミゾリビンは生体内でほとんど代謝を受けず主に腎臓から排泄されるため、患者の腎機能がミゾリビンの体内動態の変動要因と考えられてきた。一方近年、ミゾリビンの累積尿中排泄率にも大きな個体差があることが報告され、消化管吸収の不良が体内動態変動の別要因として認識されつつある。申請者は、培養ヒト腸上皮LS180細胞を用いた検討において、何らかの排出トランスポーターがミゾリビンの吸収障壁として機能しているとの知見を得ている。本研究では、ミゾリビンの排出トランスポーターを同定するとともに、健常成人およびミゾリビンを服用中の患者を対象とした臨床試験を実施し、ミゾリビンの消化管吸収率の個体差に及ぼす吸収・排出トランスポーターの遺伝的多型の影響などを検討することを目的とした。平成23年度は、健常成人を対象とした臨床試験を実施し、ミゾリビンの消化管吸収率の個体差に及ぼすトランスポーターの遺伝的多型の影響を検討した。データ解析の結果、累積尿中排泄率より算出したミゾリビンの消化管吸収率は核酸トランスポーターであるconcentrative nucleoside transporter 1 (CNT1) の遺伝的多型の影響を受けることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者は平成23年7月から平成24年3月まで、本研究の研究協力者であるワシントン大学のJashvant D. Unadkat教授の研究室へ留学しており、今後の研究打ち合わせ等を行ったが、本年度の研究成果を原著論文に纏め公表すると共に、学会発表を行ったことから、本年度の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

ミゾリビンの消化管吸収率はCNT1の遺伝的多型の影響を受けることが明らかとなったが、ミゾリビンの体内動態の個体間変動を全て説明することはできない。一方、ミゾリビンと構造が酷似する抗ウイルス薬リバビリンはCNT2の選択的基質であることから、ミゾリビンがCNT2によって輸送される可能性がある。今後は、CNT2がミゾリビンの消化管吸収に関与するかどうかを評価していく予定である。また、CNTファミリーはナトリウムイオン共役型のトランスポーターであることから、ミゾリビンの吸収は食事中に含まれる塩分の影響を受けると考えられる。そこで、健常成人を対象とした臨床試験を企画・実施し、ミゾリビンの消化管吸収に及ぼす食塩の影響を評価する予定である。培養ヒト腸上皮細胞を用いた申請者の検討において、ミゾリビンは何らかの排出トランスポーターによって細胞外に能動的に排出されることが明らかとなっている。今後は特定の排出トランスポーターを過剰発現させた培養細胞やその膜ベシクルを用いて、ミゾリビンの排出トランスポーターの同定を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、遺伝子診断、薬物定量、および培養細胞等を用いた基礎実験を行うための消耗品の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Population pharmacokinetics of mizoribine in pediatric recipients of renal transplantation2012

    • 著者名/発表者名
      Ishida K, Motoyama O, Shishido S, Tsuzuki K, Hashimoto Y
    • 雑誌名

      Clin Exp Nephrol

      巻: 16 ページ: 799-804

    • DOI

      10.1007/s10157-012-0616-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Population pharmacokinetics of mizoribine in adult recipients of renal transplantation2011

    • 著者名/発表者名
      Ishida K, Okamoto M, Ishibashi M, Hashimoto Y
    • 雑誌名

      Clin Exp Nephrol

      巻: 15 ページ: 900-906

    • DOI

      10.1007/s10157-011-0487-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of genetic polymorphisms of SLC28A1, ABCG2, and ABCC4 on bioavailability of mizoribine in healthy Japanese males2011

    • 著者名/発表者名
      Fukao M, Ishida K, Sakamoto T, Taguchi M, Matsukura H, Miyawaki T, Hashimoto Y
    • 雑誌名

      Drug Metab Pharmacokinet

      巻: 26 ページ: 538-543

    • DOI

      10.2133/dmpk.DMPK-11-NT-040

    • 査読あり
  • [学会発表] Effect of genetic polymorphisms of nucleoside and efflux transporters on bioavailability of mizoribine in healthy Japanese males2011

    • 著者名/発表者名
      Miki Fukao
    • 学会等名
      日本薬物動態学会第26回年会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島県)
    • 年月日
      2011年11月16日~18日
  • [学会発表] Effect of genetic polymorphisms of SLC28A1, ABCG2, and ABCC4 on bioavailability of mizoribine in healthy Japanese males2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Ishida
    • 学会等名
      2011 AAPS Annual Meeting and Exposition
    • 発表場所
      Walter E. Washington Convention Center, Washington, DC, USA
    • 年月日
      2011年10月23日~27日

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公開日: 2013-07-10  

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