本研究では、フィブラート薬物を脂肪肝状態マウスに臨床用量相当で投与し、肝臓脂質代謝への薬効を調べた。低用量フィブラートは、PPARα活性化と異なる機構により、肝臓のミトコンドリアβ酸化機能を高め、脂肪肝軽減作用を示した。この新たな薬理作用は、β酸化蛋白の安定化によるものと考えられ、これにはミトコンドリア蛋白の安定性および機能性に重要な内膜リン脂質:カルジオリピンの増加が関与していると推察された。これらの薬理作用は、従来のげっ歯類試験で問題視されていた肝肥大などの非生理的現象を伴っておらず、当該薬物のヒトにおける薬理作用を理解する上で有用と思われる。
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