研究課題/領域番号 |
23790181
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | プロクロルペラジン / 薬物動態 / オピオイド / 制吐薬 / 有害作用 / 代謝物 / TDM / がん性疼痛 |
研究概要 |
臨床試験の倫理審査申請とプロクロルペラジンとその代謝物(スルホキシド、N-脱メチル体、7-水酸化体)の血中濃度測定法の確立を行い、患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を開始した。臨床試験については、当施設の医学研究倫理審査およびヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査の承認を受け実施した。プロクロルペラジンとその代謝物の血中濃度測定については、米国食品医薬品局の生体試料分析のガイダンスに準拠した簡便なLC-MS/MS法による同時測定法を確立し、がん患者へのモニタリングの適用性についても検証した。インフォームドコンセントの得られたがん患者37名について、プロクロルペラジンとその代謝物の薬物動態解析を行った。登録されたがん患者において、プロクロルペラジンとその代謝物の血中濃度には、変動係数として、プロクロルペラジンで89.4%、スルホキシドで88.7%、N-脱メチル体で86.4%および7-水酸化体で78.2%であり、大きな個体間差が確認された。プロクロルペラジンとその代謝物の薬物動態解析とともに、オピオイド鎮痛薬の血中濃度測定、錐体外路症状の判定とそのグレード分類、その他の副作用の判定およびプロラクチンの血中濃度測定を目標症例数に到達するまで患者登録を継続する。患者情報の収集については、診療録や疼痛管理記録から情報を抽出し、疼痛管理状況と有害作用発現状況についてのデータベースの作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの経過から、初年度の達成目標である臨床試験の倫理審査承認、プロクロルペラジンとその代謝物の血中濃度測定法の確立でき、患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を開始できているため、おおむね順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度については、目標症例数までの患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を実施する。さらに血清プロラクチン濃度の測定、遺伝子解析および血液中フラビン含有モノオキシゲナーゼ活性の測定を行う。得られた情報を用いて、プロクロルペラジンの血中動態と制吐作用や副作用との関係解明のために統計解析を行う。遺伝子解析:患者の白血球DNAより、薬物代謝酵素(CYP2D6、CYP2C19、CYP3A5、FMO1、FMO3)、薬物輸送担体(ABCB1)、薬物受容体(OPRM1、DRD2)の遺伝子変異について解析する。遺伝子型の判定については、PCR-RFLP法またはシーケンス法を用いる。フラビン含有モノオキシゲナーゼ活性の測定:プロクロルペラジン投与患者の血液中フラビン含有モノオキシゲナーゼ活性を評価するため、ベンジダミンを基質として、ex vivoアッセイを行う。生成したベンジダミンNオキシドをHPLC蛍光法にて測定する。プロクロルペラジンの血中動態と制吐作用・副作用の関係解析:多変量解析により、プロクロルペラジンとその代謝物およびオキシコドンの血中濃度、薬物代謝酵素、薬物輸送担体、ドパミンD2受容体、オピオイドμ1受容体の遺伝子変異および血液中FMO活性を用いて、制吐作用、錐体外路症状、高プロラクチン血症およびその他の副作用の影響因子について明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費については、主に消耗品、情報収集や成果発表のための学会参加、臨床検査項目の外部検査機関への委託費用および学内共同機器の使用料に対して、研究費を使用する。具体的な使途を下記に示す。消耗品費:試薬、ELISAキット、HPLC関連器具、プラスチック器具および遺伝子解析関連試薬を購入する。旅費:日本臨床薬理学会年会および日本医療薬学会年会に参加し、研究資料を収集する。また、国際学会に成果を発表する。外部検査機関委託:α1酸性糖タンパクおよび診療未検査項目測定学内共同機器の使用料: LC-MS/MS、DNAシークエンサ等の使用料
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