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2012 年度 実施状況報告書

オピオイド投与患者におけるプロクロルペラジンの体内動態と薬効・副作用との関係解明

研究課題

研究課題/領域番号 23790181
研究機関浜松医科大学

研究代表者

内藤 隆文  浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)

キーワードプロクロルペラジン / ドパミンD2受容体 / オキシコドン / 制吐薬 / プロラクチン / 薬物動態 / がん性疼痛
研究概要

本研究では、がん患者におけるプロクロルペラジンの制吐作用および血清プロラクチン濃度に及ぼす影響因子について、ドパミンD2受容体(DRD2)の遺伝子変異に着目して評価した。対象はオキシコドン服用時の制吐予防目的にプロクロルペラジンを投与したがん患者70名とした。プロクロルペラジン服用12時間後における血漿中プロクロルペラジン濃度および血清プロラクチン濃度を評価した。血漿中プロクロルペラジン濃度、オキシコドン投与量、性別およびDRD2の遺伝子変異と嘔気・嘔吐発現率および血清プロラクチン濃度との関係について解析した。嘔気発現率については、DRD2 Taq IAのA1A1+A1A2群においてA2A2群より有意に高かった。さらに女性は男性に比べ、嘔吐発現率が高い傾向が認められた。一方、血漿中プロクロルペラジン濃度およびオキシコドン投与量は、嘔気・嘔吐発現率に影響を及ぼさなかった。血清プロラクチン濃度については、プロクロルペラジンの投与により有意に上昇し、その上昇には個人差も認められた。プロクロルペラジン投与前後の血清プロラクチン濃度については、女性は男性と比較して、それぞれ有意に高値を示した。一方、DRD2の遺伝子変異やオキシコドン投与量は、血清プロラクチン濃度に影響を及ぼさなかった。以上より、がん患者において、DRD2の遺伝子変異は、プロクロルペラジンによる制吐作用に影響を及ぼすことが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの検討から、プロクロルペラジンの血中動態の影響因子については、単一の薬物代謝酵素や薬物輸送担体の遺伝子変異では説明できなかった。一方、オキシコドン服用患者におけるプロクロルペラジンの制吐作用および血清プロラクチン濃度とDRD2の遺伝子変異との関係が明らかになり、おおむね順調に研究が進展した。

今後の研究の推進方策

平成25年度については、オピオイドを服用しているがん患者におけるプロクロルペラジンの制吐作用および血清プロラクチン濃度に及ぼす影響因子について、ドパミンD2受容体と相互作用を有するオピオイドμ1受容体の遺伝子変異に着目して評価を行う。多変量解析により、プロクロルペラジンとその代謝物およびオキシコドンとその代謝物の血中濃度、性別、ドパミンD2受容体およびオピオイドμ1受容体の遺伝子変異を用いて、制吐作用、錐体外路症状および高プロラクチン血症の影響因子について明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の研究費については、主に消耗品、情報収集や成果発表のための学会参加、臨床検査項目の外部検査機関への委託費用および学内共同機器の使用料に対して、研究費を使用する。具体的な使途を下記に示す。
消耗品費:試薬、HPLC関連器具、プラスチック器具および遺伝子解析関連試薬を購入する。
旅費:日本臨床薬理学会年会および日本医療薬学会年会に参加し、研究資料を収集する。また、国際学会に成果を発表する。
外部検査機関委託:プロラクチンおよび診療未検査項目測定
学内共同機器の使用料: LC-MS/MS、DNAシークエンサ等の使用料

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公開日: 2014-07-24  

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