研究課題
本研究では、PTHにより誘発される肝臓及び小腸の薬物動態制御タンパク質の発現変動特性について解析すると共に、血漿中PTH低下作用を有し臨床的にも汎用されているシナカルセトの効果についても検討を加えた。以下に得られた知見を要約する。1. 5/6腎臓摘出ラットに高リン食を給餌することでSHPTラットを作成し、1)コントロール群、2)SHPT群及び3)SHPT/シナカルセト投与群の3群に群分けした。これらラットの肝臓並びに小腸上皮からライセートと膜画分を調製してCYP3A2、P-gp、MRP2、BCRP及びOATP4のタンパク質発現量をWestern blottingにより比較検討した。その結果、SHPT群において肝CYP3A2及び小腸CYP3A2タンパク質発現の有意な減少が観察された。一方、SHPT/シナカルセト投与群では、これらタンパク質の発現減少が抑制された。2. ラット由来初代培養肝細胞にPTHを添加後48時間培養した後、CYP3A2、P-gp、MRP2、BCRP及びOATP4のタンパク質発現量について、Western blottingにより比較検討した。その結果、PTH添加群の場合は、コントロール群に比べてCYP3A2タンパク質発現の有意な減少が観察された。3. Caco-2細胞にPTHを添加後48時間培養した後、CYP3A4、P-gp、MRP2、BCRP及びOATPのタンパク質発現量についてWestern blottingにより比較検討した。その結果、PTH添加群の場合は、コントロール群に比べて、CYP3A4のタンパク質発現が有意に減少することが観察された。 以上、PTHによる薬物動態制御タンパク質の発現調節機構の解明に加え、今後、SHPT患者における医薬品適正使用の提案に貢献できるものと考えられる。
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