研究課題/領域番号 |
23790189
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
池田 龍二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (50398278)
|
キーワード | がん分子標的薬 / エルロチニブ / 抗がん剤耐性 / MRP3 |
研究概要 |
エルロチニブは、日本国内においてゲフィチニブに次いでよく用いられる上皮増殖因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor: EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬で、非小細胞肺がん患者における有効性が示されているが、薬剤耐性が治療の大きな障害となっていることも事実である。 耐性の機序を解明し実用的な耐性克服の方法を開発することは重要且つ緊急課題であると考えられる。本研究では、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるエルロチニブの耐性機序を解明し、耐性克服薬剤の開発を行うことを目的として研究を行った。 抗がん剤を細胞の中から外に排泄する膜輸送蛋白質ABCトランスポーターとして、P-糖蛋白質、multidrug resistance-associated protein (MRP)1などが存在する。これまでに49種類のヒトABCトランスポーターの存在が知られているが、その中で薬剤耐性に関与することが報告されているのは、P-糖蛋白質、MRP1、MRP2、MRP3、MRP4、MRP5、MRP7、Breast Cancer Resistance Protein (BCRP/ABCG2), ABCA2/ABC2の9種類である。親株であるA549細胞とエルロチニブ耐性細胞におけるABCトランスポーターの発現変化をPCRアレイ法で調べたところ、MRP3の発現の上昇が認められた。また、トポイソメラーゼIIやBaxの発現低下が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エルロチニブ耐性細胞の耐性化機構について分子レベルで解析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
がん分子標的薬剤の耐性遺伝子を同定し、その機序を解析する。また、実用的な耐性克服薬の開発を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
まず、エルロチニブ以外のがん分子標的薬剤(ソラフェニブ等)の耐性細胞も作製し、得られた細胞株の遺伝子発現の違いをマイクロアレイあるいはPCRアレイ解析で比較する。また、マイクロアレイあるいはPCRアレイ解析の結果をもとに、それぞれの耐性細胞に対する耐性遺伝子の同定を遺伝子の強制発現系、RNA干渉(siRNA)によるノックダウンの系で行う。さらに、がん分子標的薬剤の耐性遺伝子を同定後、実用的な耐性克服薬の開発を行う。
|