研究課題/領域番号 |
23790195
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
小澤 実香 城西国際大学, 薬学部, 助手 (40398558)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | バイオマーカー / ステロイド / タンパク質 / 相互作用 |
研究概要 |
本研究では、ステロイド薬処理により発現量の増加が認められたリポカリン2について、ステロイド薬処理によるリポカリン2の発現増加に関する生理的意義を解明し、治療マーカーとしての有用性を検討することを目標としている。本年度は、リポカリン2のステロイドとの結合能を検討することを目的とし、リコンビナントリポカリン2の作製および評価系構築を行った。1.ヒトリポカリン2-大腸菌産生系の構築とタンパク質の産生および精製を目的とし、ヒスチジンタグ融合リポカリン2発現プラスミドを構築し、BL21株大腸菌を用いてタンパク質の発現誘導を行った後ニッケルカラムを用いて精製を行った。その結果、目的タンパク質を含むフラクションを得た。ウェスタンブロットによるタンパク質確認において30KDaおよび60KDa付近にバンドが検出され、二量体形成の可能性が考えられたため、引き続き精製の条件検討を行う予定である。2.ヒトリポカリン2に対するステロイド化合物の結合性を評価するための評価系の構築及び各ステロイド薬との結合性の精査を目的とし、BIACOREを用いた評価系を構築することとし、リガンドとしてコハク酸プレドニゾロンおよびコハク酸デキサメタゾンコルチコイド用いて固定化条件について検討した。その結果、流速10μl/minでそれぞれ固定量118RU、204RUを得ることが可能であった。現在、グルココルチコイド結合グロブリンを用いて固定化したステロイドとの相互作用測定の条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.大腸菌産生系の構築において、プロテアーゼ切断部位のないプラスミドベクターを作製したため、カラム精製時の大腸菌由来タンパク質との分離条件に係る検討に時間を要している。また、タンパク質抽出時あるいはその後の操作時に目的タンパク質の二量体が形成されている可能性が示唆されたため、試料調製の検討を追加している。以上の理由から、目的タンパク質の精製および単離に至っていない。2.ステロイドをリガンドとした場合の陽性対照となり得るアナライトタンパク質の探索に時間を要した。さらに、アナライト候補タンパク質の調製が必要となり、リコンビナントタンパク質の作製を行ったことから、測定系の構築には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
BIACOREによるステロイド-リポカリン2測定系を構築し、各種ステロイドとリポカリン2の相互作用測定により結合能評価を行う。さらに、リポカリン2―ステロイド結合能の評価と生理学的機能解明を目的として、1.リポカリン蛋白を制御発現する細胞株を樹立し、BIACOREによりステロイドとの反応性を検討する。2. ステロイドの局在に対するリポカリン2の影響に関する検討を行うために、質量分析計(LC-MS)を用いた細胞内および細胞外に存在するステロイドの定量系を構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞あるいは大腸菌の培養に必要となる各種消耗品の購入に加え、目的タンパク質精製に必要となるカラムの追加購入が必要となる。また、リポカリン2の制御発現系の構築に必要となる遺伝子導入試薬あるいは機器の購入を予定している。さらに、質量分析計による測定に必要となる試薬およびカラムを購入する。
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