本研究では、ステロイド薬処理により発現量の増加が認められたリポカリン2について、ステロイド薬処理によるリポカリン2の発現増加に関する生理的意義を解明し、治療マーカーとしての有用性を検討することを目標としている。本年度は、各種ステロイドとリポカリン2の相互作用測定により結合能評価を行うことを目的として、BIACOREによるステロイド-リポカリン2測定系構築に関して検討を行った。また、リポカリン2蛋白強制発現細胞株の樹立に関する検討を行った。 1.ステロイド‐リポカリン2測定系の構築:昨年度検討した条件をもとにコハク酸デキサメタゾンおよびコハク酸プレドニゾロンをリガンドとして固定化した。まず、種々のステロイド結合タンパク質を用いてスクリーニングを行い、α1-glycoproteinをコントロールアナライトとして用いることとした。次にリポカリン2との相互作用を検討した結果、プレドニゾロンに対する結合は確認できなかったが、デキサメタゾンに対しては用量依存的に結合することが示唆された。 2.リポカリン2蛋白強制発現細胞株の作製:ヒト表皮角化細胞株への遺伝子導入条件についてGFP遺伝子を用いて検討した。エレクトロポレーション法と比較してリポフェクション法による導入が高効率であったことから、Halotag融合リポカリン2ベクターを作製しリポフェクション法を用いて導入したところ、約50%の導入効率で強制発現細胞を確認した。
|