生体の恒常性維持のため、生体中に存在する酸化物質と抗酸化物質の活性は、一定のバランスで維持されている。しかし、酸化物質と抗酸化物質のバランスが崩れ、酸化物質が過剰に存在する酸化および窒素化ストレス状態になると、動脈硬化、発がんや生活習慣病などさまざまな病態を引き起こす。従って、生体内の酸化および窒素化ストレス状態を正確に把握することが可能となれば、病態の早期発見や予防に有用であると考えられる。 酸化および窒素化ストレス状態を評価するために、生体内抗酸化物質として反応性の高いチオール化合物(還元型グルタチオン : GSHおよび酸化型グルタチオン : GSSG)を測定対象物質に選定した。また、血液に代わる試料として、非侵襲的な採取が可能な唾液試料に着目し、唾液中チオール化合物分析法の検討を行った。唾液中グルタチオンは簡便な測定が可能な酵素法による測定法の開発を試みた。酵素や反応緩衝液および誘導体化試薬の最適化を行い、簡便な唾液中グルタチオン分析法の開発が達成できた。
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