生活習慣病は酸化ストレスが関与していることから、カラムスイッチング-親水性相互作用クロマトグラフィー/質量分析法によるチオール化合物の一斉分析法の開発を行った。試料の前処理操作を自動化したため、精度の高い方法が構築され、マウス血清中還元型および酸化型チオール化合物の同時定量を達成した。チオール化合物は自動酸化を受け、精確な定量が困難であったことから、さまざまな誘導体化試薬の比較検討を行った。構築した分析法を糖尿病マウス血清に適用したところ、還元型および酸化型グルタチオンの濃度が増加していた。これらの結果からグルタチオン類を測定することは酸化ストレスの指標となりえることが示唆されたため、非侵襲的に採取が可能な唾液試料への適用を試みた。その結果、血液中と唾液中グルタチオン類の濃度に相関性が認められたため、唾液試料は血液試料に代わる生体試料として適用可能であることが示唆された。
|