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2011 年度 実施状況報告書

腎癌の定量的プロテオーム解析に基づく創薬ターゲットの発現変動機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 23790209
研究機関姫路獨協大学

研究代表者

中村 任  姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (80379411)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード腎癌 / VHL / 低酸素
研究概要

腎癌(腎臓癌)に対する化学療法の奏功率が極めて低く、新規の創薬ターゲットの同定と確立が急がれる。腎癌との強い関連性が示唆されている癌抑制遺伝子(VHL)については細胞内酸素濃度を反映することが示唆されている。本年度は、VHL発現の影響について検討する目的で、VHL遺伝子を欠損した腎癌由来RCC4(-)細胞とVHL遺伝子を導入した細胞株(RCC4(+)細胞)を用いて両細胞間で発現の異なるタンパク質の同定を試みた。また、臨床検体において腎癌の癌部と非癌部における発現比が大きく異なるタンパク質の中から前述のRCC4(+/-)細胞の検討で同定されたタンパク質のうち数種類について低酸素条件下での変動について検討した。塩化コバルト添加によって擬似的に低酸素状態にした786-o細胞における遺伝子発現量変動パターンはVHL遺伝子の発現が報告されているHCT-15細胞と比較して大きく異なった。両細胞間で顕著に相違した遺伝子としては、低酸素状態で発現変動する血管内皮増殖因子(VEGF)に加え、解糖系酵素である6-phosphofructokinase (PFK)の分子種などであった。近年、解糖系酵素が細胞質ばかりでなく細胞膜にも発現することや解糖以外の機能が示唆されており、PFKも腎細胞膜タンパク質であることが報告されていることから解糖系以外で癌と関与している可能性について検討する予定である。一方で、VHL遺伝子の普遍的な影響について検討する目的で、VHLを遺伝的に欠損したヒト腎癌由来培養細胞(786-O細胞)に対するVHL遺伝子導入細胞株の確立を試みた。セレクションしたVHL遺伝子導入786-O細胞株についてVHL発現量を検討したところmRNAレベル、タンパクレベルともに検出限界以下であり、引き続きの検討予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

創薬ターゲット候補タンパク質について、mRNA発現量の定量系確立はおおむね順調に進展した。一方で、タンパク質発現量の定量系確立に至っておらず次年度の課題である。また、VHL欠失細胞株へのVHL遺伝子導入を行っているが、次の研究計画遂行に必要とされる発現量には到達しておらず引き続き検討が必要である。

今後の研究の推進方策

創薬ターゲット候補タンパク質について、低酸素下での検討に加え、低栄養下でのmRNA発現量の変動を検討する。また、他の培養細胞系についても同様の検討を行う。一方で、同タンパク質の定量系確立を目指す。また、VHL欠失細胞株へのVHL遺伝子導入実験を継続する。

次年度の研究費の使用計画

次年度研究費は、培養細胞における創薬ターゲットタンパク質を検出するためのmRNA定量およびタンパク質定量系確立に必要となる試薬ならびに遺伝子・タンパク質の抽出や精製にかかる試薬などの消耗品費、また、細胞培養を行うための器具や培養液等の試薬代に当てる予定である。さらに、研究費の一部は、本研究の成果を学術論文・学会発表等の手段によって社会へ発信するための旅費等として使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] E10A, an adenovirus carrying endostatin gene, dramatically increased the tumor drug concentration of metronomic chemotherapy with low-dose cisplatin in axenograft mouse model for head and neck squamous cell carcinoma.2012

    • 著者名/発表者名
      Z. Adhim, X. Lin, W. Huang, N. Morishita, T. Nakamura, H. Yasui, N. Otsuki, K. Shigemura, M. Fujisawa, K. Nibu, T. Shirakawa.
    • 雑誌名

      Cancer Gene Ther.

      巻: 19 ページ: 144-152

    • DOI

      10.1038/cgt.2011.79

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 15-Deoxy-Δ(12,14)-prostaglandin J(2) enhanced the anti-tumor activity of camptothecin against renal cell carcinoma independently of topoisomerase-II and PPARγ pathways.2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Yamamoto, M. Fujita, H. Koma, M. Yamamori, T. Nakamura, N. Okamura, T. Yagami.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys. Res. Commun.

      巻: 410 ページ: 563-567

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2011.06.026

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of plasma concentrations of 5-fluorouracil on long-term survival after treatment with a definitive 5-fluorouracil/cisplatin-based chemoradiotherapy in Japanese patients with esophageal squamous cell carcinoma.2011

    • 著者名/発表者名
      A. Kuwahara, M. Yamamori, K. Kadoyama, K. Nishiguchi, T. Nakamura, I. Miki, T. Tamura, T. Okuno, H. Omatsu, T. Sakaeda.
    • 雑誌名

      J Exp Clin Cancer Res.

      巻: 30 ページ: 94

    • DOI

      10.1186/1756-9966-30-94

    • 査読あり
  • [学会発表] 腎臓がん細胞における15-deoxy-Δ12, 14-prostaglandin J2の抗腫瘍メカニズムの解明2012

    • 著者名/発表者名
      田路千明、藤田恵、本田陽子、山本泰弘、中村任、矢上達郎、山森元博、岡村昇
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学、札幌
    • 年月日
      2012年3月31日
  • [学会発表] The synergistic toxicity of the combination of 15-deoxy-Δ12, 14-prostaglandin J2 and several anti-tumor agents against renal cell carcinoma2012

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Yamamoto, Hiromi Koma, Megumi Fujita, Motohiro Yamamori, Tsutomu Nakamura, Noboru Okamura, Tatsurou Yagami
    • 学会等名
      第85回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      国立京都国際会館、京都
    • 年月日
      2012年3月15日
  • [学会発表] 食道癌術前化学療法時の血漿中プラチナ濃度推移と血清シスタチンC濃度の相関解析2012

    • 著者名/発表者名
      久米学、安井裕之、吉川豊、東口佳苗、小林曜子、槇本博雄、平野剛、黒田大介、平井みどり、中村任
    • 学会等名
      第33回日本病院薬剤師会近畿学術大会
    • 発表場所
      アジア太平洋トレードセンター、大阪
    • 年月日
      2012年1月22日
  • [学会発表] ヒト腎癌由来Caki-2細胞株に対するエベロリムス長期暴露の影響2012

    • 著者名/発表者名
      中山優子、高橋稔、中村任、奥村勝彦、高良恒史
    • 学会等名
      第33回日本病院薬剤師会近畿学術大会
    • 発表場所
      アジア太平洋トレードセンター、大阪
    • 年月日
      2012年1月22日
  • [学会発表] StageII/III進行食道癌患者における化学放射線療法の長期予後と予測因子であると考えられる遺伝子型について2011

    • 著者名/発表者名
      奥野達哉、大松秀明、池田篤紀、三村卓也、藤島佳未、桒原晶子、山森元博、三木生也、田村孝雄、岡村昇、中村任、東健、栄田敏之
    • 学会等名
      第9回日本臨床腫瘍学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、横浜
    • 年月日
      2011年7月21日
  • [学会発表] エンドスタチン遺伝子導入による腫瘍内プラチナ濃度の増大2011

    • 著者名/発表者名
      中村任、Zainal Adhim、Xubin Lin、Wenlin Huang、安井裕之、大月直樹、丹生健一、藤澤正人、白川利朗
    • 学会等名
      日本薬剤学会第26年会
    • 発表場所
      タワーホール船堀、東京
    • 年月日
      2011年5月29日

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公開日: 2013-07-10  

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