研究課題/領域番号 |
23790211
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
安楽 誠 崇城大学, 薬学部, 准教授 (60398245)
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キーワード | キトサン / アルブミン / 酸化ストレス / 抗酸化作用 / 腎障害 / 生活習慣病 |
研究概要 |
近年,生活習慣病の発症・進展に,酸化ストレスの密接な関与が明らかになってきたが,抗酸化剤の適応を有する薬剤は殆どない上,新規薬剤の開発及び上乗せ処方は医療経済的な負担が大きい. 本研究では,既存の生活習慣病治療薬の中から酸化ストレス軽減効果を兼ね備えた薬剤の活用(育薬),または優れたラジカル消去効果を有する機能性食品の未病医療への適用(育食)による多面的抗酸化療法を確立し,これに多彩なバイオマーカーを駆使した酸化ストレスの網羅的評価方法の組み合わせにより適正化を図る生活習慣病の新たな治療戦略の提案を最終目的とする. 研究初年度に,in vitroの検討において,生活習慣病治療・予防における薬物及び機能性食品のin vitroにおける抗酸化作用のスクリーニングを行った.その結果,天然高分子多糖類であるキトサンにおいて,脂質吸収抑制作用に加えた抗酸化作用が観察された.そこで,本年度の検討として,病態モデル動物を利用したin vivoの検討において,キトサンによる生化学値および抗酸化作用との関連性を検討した.その結果,メタボリックシンドロームモデルラットにおいて,脂質吸収抑制効果に加えた抗酸化作用を見出した.さらに,慢性腎不全モデルラットにおいて,腎障害亢進抑制効果に加えた酸化ストレス抑制効果も観察された.以上の知見より,今後,機能性食品であるキトサンのメタボリックシンドロームあるいは腎不全などの病態への多面的抗酸化療法への応用が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種機能性食品の中のキトサンにおいて,メタボリックシンドロームモデルラットにおいて,既存の効果である脂質吸収抑制効果に加えた顕著な抗酸化作用を確認することができた.また,腎不全モデルラットにおいても,腎障害亢進抑制効果に加えて,顕著な抗酸化作用を確認することができた.以上の結果から,機能性食品であるキトサンに対して,実際にヒトへの応用について検討を継続できるため,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
In vitroおよび病態モデル動物スクリーニングにより有効性が示唆された薬物及び機能性食品について,生活習慣病及び慢性腎不全を呈する患者を対象に臨床試験を行う.具体的には,インフォームドコンセントにより同意が得られた患者に対し,薬物及び機能性食品を常用量で服用してもらう.服用前後に,採血をおこない血液採取する.評価項目として各種酸化ストレスマーカーを用いた抗酸化作用,細胞内シグナル伝達物質および生化学値の変動について検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,生活習慣病及び慢性腎不全を呈する患者を対象に臨床試験を行う予定であり,その評価のため,各種酸化ストレスマーカーキット,細胞内シグナル伝達物質および生化学値の変動に関するキット等の試薬類を主に購入する予定である.また,本研究は基礎研究と臨床研究を連結させたものであるため,それぞれの分野での幅広い情報収集が必要となる.そのため,国内外で開催される学会等への参加費に利用する予定である. 本学経理担当との連携ミスによる試薬の2重発注のため,経費未使用分が,若干生じた.次年度は,このようなミスが生じないよう連携を密にすると同時に,計画的な予算利用を行う予定である.
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