本研究では、3-D培養における上皮組織化や浸潤性獲得の分子基盤を明らかにすることを主たる目的とした。研究全体を通して以下の成果を得た。 1) 乳腺上皮細胞のin vitro組織化において4倍体細胞の形成とその後の動態・増殖能を解析し、細胞増殖は核の倍数性に影響されないという結果を得た。 2) 腫瘍細胞の3-D浸潤には細胞膜のMT1-MMPによって活性化されるMMP-2が必要であること、3-D培養で選択的におこるMMP-2の活性化にはMT1-MMPの細胞膜局在の増加によって引き起こされることを明らかにした。MMP-2の発現制御はエピジェネテイックに制御されており、その分子機構と標的遺伝子群を明らかにした。 3) Metの発現の有無によって、乳腺上皮細胞や悪性黒色腫の分化転換を検出できる示唆を得た。分化転換の動態やその分子機構を明らかにする基盤を得た。
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