研究課題
本研究はアルツハイマー病を中心とした神経性心疾患におけるSUMO化の意義を解明することを目的に施行している。そこで、トロント大学との共同研究を行い、①SUMO1トランスジェニックマウス(SUMO1-tgマウス)とアルツハイマー病モデルマウス(APP変異体-tgマウス)の掛け合わせによりみられる病理学的、行動学的異常、②SUMO1-tgマウスを用いた解剖学的、電気生理学的検討による神経機能に対する影響、について検討した。一方で、③アルツハイマー病でみられる小胞体ストレス性細胞死へのSUMO化の影響をin vitroの検討によりおこなった。検討①については、アルツハイマー病モデルマウスの異常行動に対してSUMO-tgマウスの掛け合わせが、改善の方向に作用することを明らかとした。また、この際にアルツハイマー病の病理像の一つであるアミロイドベータ蛋白質の蓄積に対し、初期では抑制傾向を示すも、その後は明確な抑制を認めなかった。これらのことから、SUMO-tgマウスによる病態改善はアミロイドベータ蛋白質の蓄積抑制ではなく、神経機能の改善作用が病態改善に作用したと考えられた。そこで、検討②を行い、現在神経機能へのin vivoでのSUMO化の作用を検討している。並行して行っている検討③については、SUMO化による神経細胞死への影響を中心に検討を行い、結果として、SUMO化が抑制された場合に小胞体ストレス性神経細胞死が促進すること。これらの作用に、SUNO化による細胞死関連因子CHOPの誘導が制御されていることなどを明らかとした。これらのことから、SUMO化がアルツハイマー病で認められる神経細胞死の抑制、神経機能低下の抑制することで病態改善に作用する可能性を示唆した。
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