研究課題/領域番号 |
23790225
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
能村 卓慈 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (10506231)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 発生学 / 生殖細胞 / レトロトランスポゾン / piRNA / ノックアウトマウス |
研究概要 |
レトロトランスポゾン抑制機構は、primary piRNAの転写に始まり、primary piRNAは細胞質への輸送され、processingおよび増幅系を経て、核へ輸送され、piRNA配列と相同な領域を最終的にメチル化する過程であると考えられている(Genes Dev. 22, 970-975, 2008)。この過程のどこかで異常が起こるとレトロトランスポゾンの抑制が効かなくなると考えられる。これまでのデータは、CUE110タンパク質はこの過程のどこかで重要な働きをしていることを示している(Dev.Biol. 335, 216-227, 2009)。23年度では、CUE110タンパク質がこの過程の中で果たす分子メカニズムを知るために、1)レトロトランスポゾンの抑制に関わるnuage局在タンパク質のCUE110タンパク質欠失に伴う局在変化、2)CUE110タンパク質と直接相互作用するタンパク質を調べた。1)に関しては、CUE110タンパク質欠失に伴い、pi-bodyと呼ばれるnuageに局在するタンパク質の局在は変化しなかったが、piP-bodyと呼ばれるnuageに局在するタンパク質、MIWI2、TDRD9、MAELの正常な局在が失われていた。これは、CUE110タンパク質はpiP-bodyの機能に深く関わり、MIWI2、TDRD9、MAELが正常に機能するために重要である可能性を強く示唆している。2)に関しては、免疫沈降法と質量分析法を用いて、CUE110と相互作用するタンパク質として、TDRD9とHSPA2を同定した。この2つのタンパク質は、それぞれの欠失したノックアウトマウスにおいて、CUE110タンパク質が欠失した場合と非常に類似した表現型を示すため、CUE110タンパク質の機能と深く関わる可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
23年度の研究計画に示していた、CUE110の欠失がpiRNA発現に影響を及ぼすかどうかの検討は、現在進行中で間もなく結果が出る予定である。一方で、CUE110タンパク質と直接相互作用するタンパク質を調べるという計画は、24年度の研究計画に組み込まれていたが、すでに免疫沈降法と質量分析法を用いた方法を駆使して、当初の予想以上の結果を得た。CUE110タンパク質がpiP-body局在タンパク質であるTDRD9と結合する可能性は容易に推定できたが、HSPA2に関してはそのノックアウトマウスの精巣でレトロトランスポゾンの発現が上昇するという報告がなかったため、CUE110タンパク質との結合は予想外であった。HSPA2のCUE110分子機能との関わり、あるいはレトロトランスポゾン抑制機構との関わりという新たな研究の観点が生まれたため、23年度を総括すると予想以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、23年度から引き続き進行中の課題、"CUE110の欠失がpiRNA発現に影響を及ぼすか否か、及ぼすならばその変化はどのようなものか"を明らかにする。すでに次世代シークエンサーを用いて網羅的なsmall RNAの配列データが得られており、現在そのデータ解析を進行させている。この結果によって、CUE110とpiRNA合成・増幅系との関わりに関して結論を得ることができる。次に24年度の課題として挙げていた、CUE110と結合するRNA分子の同定を進める。これらの課題の推進により得られた結果を23年度の結果と合わせて、総合的にCUE110タンパク質の分子機能に迫る。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗体やキットなどの試薬や消耗品に120万円、動物実験施設使用料として40万円の支出を見込んでいる。24年度の課題として挙げていた、CUE110と結合するRNA分子を同定する過程において、マイクロアレイや次世代シークエンスを行う必要が生じた場合は、試薬や消耗品経費を節約し、その費用に充てる。
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