研究課題
外生殖器は体幹部から隆起・伸長し、その内部では総排泄腔が尿生殖洞直腸中隔の伸長によって分離され直腸肛門と尿道という管構造が形成されるとされている。また、外生殖器は外胚葉性上皮、内胚葉性上皮、間葉という起源の異なる三胚葉性組織から形成される。本研究では外生殖器形成におけるFGFシグナリングの機能解析を主軸に、どのような細胞、分子メカニズムで外生殖器が形成されるのか明らかにすることを目的とし、遺伝子改変マウスを用いて外生殖器の伸長並びに尿道形成におけるFGFシグナリングの機能を解析した。生殖結節全体でFGFシグナリングを低下させたところ、生殖結節の伸長が著しく阻害された。生殖結節の内胚葉性上皮及び外胚葉性上皮特異的なFGFシグナリング低下マウスは、どちらも外生殖器の伸長に顕著な異常は認められなかった。よって、生殖結節の伸長には、主に間葉におけるFGFシグナリングが貢献していると考えられた。生殖結節伸長阻害の一因として、生殖結節における異所的細胞死が考えられた。外胚葉性上皮特異的なFGFシグナリング低下は、外生殖器上皮の重層化阻害のみならず、包皮形成不全と尿生殖洞直腸中隔形成不全を伴う尿道下裂を誘導した。内胚葉性上皮特異的なFGFシグナリング低下は、尿道上皮の重層化阻害を誘導した。また、尿道上皮細胞の細胞接着分子の発現が低下しており、尿道上皮の細胞接着異常が推察された。更には、尿道上皮周辺の間葉細胞の増殖が低下し、尿道腔狭窄が観察された。この研究により、次の3つを明らかにした。外生殖器の伸長には、間葉におけるFGFシグナリングが必要である。外生殖器の尿道形成過程において、外胚葉性上皮におけるFGFシグナリングは尿道の管構造形成を制御し、内胚葉性上皮におけるFGFシグナリングは尿道上皮形成を制御している。
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