研究課題/領域番号 |
23790236
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
菅田 浩司 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60508597)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ショウジョウバエ / 血液脳関門 / BBB / スクリーニング / RNAi |
研究概要 |
本研究では、遺伝子やそのシグナル伝達機構が進化的に保存されたモデル動物であるショウジョウバエを用いて、血液脳関門 (BBB) のバリア機能の維持に必要な遺伝子の in vivo RNAi スクリーニングを行い、得られた候補遺伝子について、ショウジョウバエの強力な遺伝学を用いてその分子機構を生体レベルで解析する事を目的とする。 予備実験の結果、既知の BBB 関連遺伝子の RNAi では、アッセイした全ての遺伝子で目的の表現型が得られた。平成23年度はショウジョウバエ全遺伝子の約40%に相当する約 6,000 遺伝子のスクリーニングを行い、複数の候補遺伝子を得た。 これまでのスクリーニングで得られた遺伝子は、表現型の特徴から以下の3グループに大別できる事が分かった。(1)BBB を構成する細胞の発生、分化、移動、生存には異常が認められないが、BBB 機能が低下している。(2)SJ が一度は正常に形成されるが、加齢と共にその機能が低下する。(3)BBB を構成する細胞の発生、分化、移動のいずれかに異常がある為に SJ が正常に形成されない。 ショウジョウバエを用いて dsRNA を過剰発現させる実験系では、dsRNA のオフターゲット効果を如何に排除するかが課題であったが、近年、short hairpin 型の dsRNA を発現しうる系統のライブラリが樹立されつつある。本ライブラリを活用する事で、より的確に候補を絞り込む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模なスクリーニングもほぼ予定どおりに進行し、目的の表現型を示す系統を得ることに成功し、解析が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングを完遂させる。また、個々の遺伝子の機能解析について、計画に従って進める。具体的には、各種の機能欠失型変異体系統を用いて関連因子の探索と遺伝学的な上下関係を解析するとともに、免疫染色やレポーター系統を用いて関連するシグナル伝達経路の解明を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は概ね予定どおり遂行されている。従って、次年度も、計画に沿って必要な酵素、試薬、色素等の消耗品の購入を行う。また、研究成果を国内外で積極的に発信するために各種の学会に参加する。そのための旅費や必要経費の使用を予定している。23年度は、東日本大震災の影響で春期に一時期実験効率が低下した時期があった。そのため消耗品購入等も当初の計画と比較して若干頻度が下がり、本書式で報告した繰越金が発生した。24年度は該当部分のフォローアップも含めて実験を行う。また、それに伴う必要消耗品の購入を計画している。
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