研究課題/領域番号 |
23790238
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80347210)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | リソソーム / カテプシンD / カテプシンL / カテプシンB / ノックアウトマウス / 基質特異性 |
研究概要 |
カテプシンD、B、Lの基質特異性についての比較検討を行うため、カテプシンDB、DL、BLダブルノックアウトマウスの繁殖を試みた。カテプシンDBダブルノックアウト(CD-/-CB-/-)マウスはカテプシンD単独欠損(CD-/-)マウスと同程度に出生/生存することが明らかとなった。両者の神経病理学的所見はCD-/-CB-/-マウスにおいて著明な軸索の腫脹(spheroid)を認める以外は同様であった。同マウスの繁殖に際して、様々な遺伝子型のマウスが得られたが、そのうちCD+/-CB-/-の遺伝子型を持つマウスにおいて、視床の後内側腹側(VPM)核においてのみCD-/-マウスと同様リソソーム蓄積を伴う神経変性を認めることが明らかとなった。このことは視床VPM核がリソソームタンパク質分解系の異常に脆弱な部位であることが強く示唆している。カテプシンDL(CD-/-CL-/-)マウスは生後14日まで生存することが分かっているが、得られる頻度が大変低い。そのため我々の元で作成され、本施設で維持されているカテプシン(CTSD)のコンディショナルノックアウトマウス(CTSDflox/flox(F/F))とカテプシンL欠損マウス、更には神経系ないし小脳プルキンエ細胞特異的にCreを発現するNestin-CreないしGluD2-Creマウスとを交配させ神経系全体ないし小脳プルキンエ細胞においてのみカテプシンD、Lが欠損するマウス(CL-/-:CTSDF/F:NestinないしGluD2-Creマウス)の作成を試み、成功した。CL-/-:CTSDF/F:Nestinマウスは、CTSDF/F:Nestinと同様に生後28日まで生存することが明らかとなった。このことは、CD-/-CL-/-マウスがCD-/-マウスより10日以上早く死に至るのは神経系以外での両酵素の欠損が原因であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カテプシンD、B、Lの基質特異性を比較検討するためのダブルノックアウトマウス由来のサンプルを効率的に得るため、カテプシンDコンディショナルノックアウトマウスを利用して神経系全体のみカテプシンD、Lが欠損するマウスを作成することに成功した。本系統は全身でカテプシンDおよびLを欠損させたマウスよりも比較的高率に出生するため、テプシンD、B、Lの基質特異性を比較検討するためのツールが効率よく得ることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
カテプシンDB欠損マウス、および中枢神経系特異的カテプシンDL欠損マウス由来のサンプルを増産し、カテプシンD欠損マウスおよび野生型マウス由来のサンプルと蓄積している物質の差異を二次元電気泳動法により明らかとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費170万円のうち、100万円は二次元電気泳動法および形態学的解析のための消耗品費として利用する。15万円は国内、35万円は海外においての研究成果の発表、15万円は本学共同研究施設における二次元電気泳動解析の依頼、5万円は論文の英文校閲に用いる予定である。
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