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2012 年度 実績報告書

強力な細胞毒性を示す新奇ペプチドチャネルにおける未知のイオン透過・制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 23790245
研究機関福井大学

研究代表者

岩本 真幸  福井大学, 医学部, 助教 (40452122)

キーワードペプチド / イオンチャネル / 細胞毒性 / 生理活性
研究概要

強力な細胞毒性を示す海綿由来のチャネル形成ペプチド・ポリセオナミドB(pTB)の作用機序解明に向け、人工脂質平面膜を用いてpTBチャネルのイオン透過特性の詳細な解析を行った。pTBはβへリックスという特異な分子構造を持つが、pTB以外唯一のβへリックス型チャネルには抗生物質として知られているグラミシジンがある。グラミシジンA(gA)チャネルのイオン透過機構に関する知見は多く蓄積しており、これと比較することでpTBチャネル特有のイオン透過特性を明らかにしようと試みた。まず、イオン透過機構を考察する際の基本的情報であるチャネル内イオン数を検討した。イオン透過速度のイオン濃度依存性、および様々なモル比で2種イオンを混合した各溶液条件でのイオン選択性の変化を単一チャネル電流から解析した結果、pTBチャネル内に同時に複数のイオンは入らないことがわかった。gAチャネルはpTBチャネルより長さが短いが、同時に2つのイオンが入り得るので、両チャネル内イオン透過の背景に存在するメカニズムは異なる可能性が考えられた。そこで、離散状態マルコフモデルを用いて実験データを解析したところ、イオンがpTBチャネル内を透過する際にも、チャネル内の2つのイオン結合部位を介していることが示唆された。なぜpTBではこれら2つの結合部位にイオンが同時に結合することが無いのか、今後さらなる検討が必要である。また、pTBチャネルの電位依存的なゲート開閉特性についても詳細に解析し、開状態の寿命に電位依存性があることを明らかにした。さらに、開閉遷移速度がgAと比較して著しく速いことがわかり、pTBチャネルのゲート開閉には、gAチャネルのようなペプチドの会合・解離ではなく、ペプチド内の構造変化が関与していると推定された。この様なゲート開閉機構の例は他に無く、今後具体的な分子機構を検討していきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Amphipathic antenna of an inward rectifier K+ channel responds to changes in the inner membrane leaflet2013

    • 著者名/発表者名
      Iwamoto M., Oiki S
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.

      巻: 110 ページ: 749-754

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The sensing sites for the membrane inner lipids regulate the activation gating of the KcsA potassium channel2013

    • 著者名/発表者名
      M. Iwamoto
    • 雑誌名

      Biophys. J.

      巻: 104 ページ: 128a

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2012.11.711

  • [学会発表] KcsAカリウムチャネルの活性化ゲート開閉に影響を及ぼす細胞内脂質センサー部位の同定2013

    • 著者名/発表者名
      岩本真幸
    • 学会等名
      第90回日本生理学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀、東京
    • 年月日
      20130327-20130329
  • [学会発表] KcsAカリウムチャネル活性に影響を及ぼすリン脂質作用部位の同定

    • 著者名/発表者名
      岩本真幸
    • 学会等名
      日本生物物理学会第50回年会
    • 発表場所
      名古屋大学、名古屋
  • [学会発表] The sensing sites for the membrane inner lipids regulate the activation gating of the KcsA potassium channel

    • 著者名/発表者名
      M. Iwamoto
    • 学会等名
      Biophysical Society 57th Annual Meeting
    • 発表場所
      Philadelphia, Pennsylvania, USA

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公開日: 2014-07-24  

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