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2011 年度 実施状況報告書

低分子量Gタンパク質Rac1による遊走細胞の運動方向制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23790247
研究機関三重大学

研究代表者

王 淑杰  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90567926)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード細胞極性 / 細胞遊走 / シグナル伝達 / Rhoファミリー
研究概要

インテグリンのシグナル伝達に中心的な役割を担うタリンと相互作用する分子をアフィニティーカラムクロマトグラフィーを用いて探索し、候補蛋白質としてRac活性化因子で、Tiam1を同定した。タリンとTiam1の結合を免疫沈降法で検討したところ、両者の共沈降が認められ、実際生体内でも両者は複合体を形成していることが示唆された。 タリンとTiam1結合のインテグリン機能への役割を細胞―基質間接着および細胞遊走において解析した。遊走細胞内でタリンは、インテグリンと細胞外基質の接着部位であるフォーカルアドヒージョンに濃縮する。Tiam1の細胞内局在を検討したところ、タリンと同様にフォーカルアドヒージョン部位に濃縮し、一部タリンと共局在した。タリンの局在は遊走細胞内で一様にフォーカルアドヒージョンに濃縮したのに対し、Tiam1は遊走方向前方の比較的大きなフォーカルアドヒージョンに有意に濃縮した。タリンとTiam1の発現をRNAiにより抑制し、接着依存的なRacの活性を測定した。その結果、タリンとTiam1をノックダウンした細胞では、Racの活性化が減弱した。また、コントロール細胞群では接着後経時的に細胞面積や細胞周長が増加するのに対し、タリンあるいはTiam1をノックダウンした細胞群ではこの増加が抑制されることも見出した。ノックダウン細胞群に見られた細胞形態の異常はそれぞれの野生型分子を発現することによりレスキューされが、Tiam1結合能を欠いたタリンではレスキューされなかった。さらに、タリンあるいはTiam1をノックダウンすると、フォーカルアドヒージョンの形成と解離が遅延すること、細胞遊走が抑制されることも明らかに。これらのことから、Tiam1はタリンと結合することで遊走細胞前方のフォーカルアドヒージョンに濃縮し、Racを活性化することで、細胞遊走に関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、遊走細胞における前後軸形成について、Racの前方方向における活性化機構、明らかにしつつある。またそれら論文はrevision中である。

今後の研究の推進方策

インテグリンのシグナル伝達に中心的な役割を担うタリン結合蛋白質としてRac活性化因子Tiam1を同定した。また、細胞内、あるいは組織内でこの二者が複合体を形成することを見出した。細胞内でTiam1の局在を検討したところ、Tiam1がタリンと同様に細胞期質間接着部位に濃縮すること、Tiam1はタリンとの結合を介して接着部位に濃縮することを明らかにした。さらに、タリンやTiam1が細胞基質間接着のターンオーバーに必須であることが明らかになった。これらの結果は、Tiam1がタリンを介して接着部位に濃縮し、局所的にRac1を活性化することで、接着部位のターンオーバーを制御することで、遊走細胞の前後軸形成を制御する可能性を示唆している。今後、Tiam1の活性、および接着部位への濃縮を制御する分子機構を明らかにしていく計画てある。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度 細胞培養用培地と試薬、血清、生物化学試薬、免疫染色用抗体、細胞観察用試薬など消耗品を購入しました。平成24年度 上記の研究推進方策に対して、細胞培養用試薬、生物化学試薬、免疫染色用抗体、細胞培養容器等を追加的に必要とします。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Numbは aPKCと共にp120を介してE-cadherin endocytosisを制御する.2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤和正 渡辺崇 王淑杰 掛布真愛ら
    • 雑誌名

      Mol Biol Cell

      巻: 22 ページ: 3103-3119

    • DOI

      10.1091/mbc.E11-03-0274

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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