研究課題
Hepatocyte growth factor activator inhibitor type 1 (HAI-1)の腸上皮組織における生理的及び病態生理学的意義を明らかにするため、腸管上皮特異的HAI-1ノックアウトマウスを用いて解析し、以下の成果を得た。(1)HAI-1 KOマウスの大腸組織では杯細胞の減少、腸陰窩の形態異常がみられた。(2)HAI-1 KOマウスの大腸上皮細胞は、アポトーシスが亢進しており、cDNAマイクロアレイによる解析から抗アポトーシス因子であるclusterinの発現が減少していることが明らかになった。(3)電子顕微鏡及びERストレスマーカーの発現解析によりHAI-1 KOマウスの大腸上皮細胞はERストレスが誘導されていることが示唆された。(4)HAI-1 KOマウスではタイトジャンクション構成タンパクであるZO-1の発現が低下しており、腸上皮の透過性が亢進していた。(5)HAI-1 KOマウスでは、HAI-1の標的酵素であるmatriptaseの局在に異常がみられた。(6)大腸炎モデルマウスを作製し解析した結果、HAI-1 KOマウスは炎症に対する感受性が亢進しており、上皮組織の再生も遅延し、致死率が高いことが明らかになった。これらの結果から、HAI-1は腸上皮の形態形成及び恒常性維持に重要な役割を有していることが明らかになった。今後は、腸上皮以外の上皮組織におけるHAI-1の機能についてさらに解析をすすめていく予定である。
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