研究課題
白血球(好中球及び単球)には様々なTLRが発現し、自然免疫において重要な役割を果たしている。TLRを介する細胞活性化機構は多くの知見が得られているが、この機構を「正または負に制御する機構」についての研究は進んでいない。ヒト好中球及び単球でLPS刺激によりTNF-α及びIL-8を産生するが、G-CSFはJAK2/STAT3依存性に抑制する。一方、ATPはTNF-α産生を抑制したがIL-8産生は抑制しなかった。また、ATPは単独でIL-8産生を誘導した。このATPの作用はDibutyryl cyclic AMPで再現出来るので、P2Y受容体を介した制御機構の関与が示唆される。サイトカイン産生の制御はmRNAレベルで生じているので、TNF-α及びIL-8遺伝子のプロモーター領域の解析を行った。293-hTLR4A-MD2-CD14細胞でのLPS刺激によるNF-κBの活性化を検出し、TLR4からのシグナル伝達を確認した。TNF-α及びIL-8遺伝子のプロモーター領域により発現制御されるLuciferase遺伝子を持つコンストラクトを作成し、上記細胞でのLPSによるLuciferase活性の誘導を検出した。各プロモーター領域の部分欠失コンストラクトを作成し、ATP、G-CSF、Dibutyryl cyclic AMPによる制御領域が転写開始点近くにあることを見出した。本研究業績がヒト白血球(好中球及び単球)におけるG-CSF/STAT3及びATP/P2YによるTLRシグナルの負の制御機構の解明につながることを期待している。
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Biol. Cell
巻: 105巻 ページ: 162-174
DOI:10.1111/boc.201200068