研究課題/領域番号 |
23790255
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
森本 智 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30594593)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
細胞内Ca2+動態は心筋興奮収縮連関の中心的な役割を果たしている。近年、心不全時には細胞内Ca2+動態異常が生じることが指摘されている。不全心筋では、Ca2+動態の障害により、心筋細胞内がCa2+過負荷となり心筋収縮・拡張不全が将来されることが示唆されている。しかし、心不全時の細胞内Ca2+動態の分子機構をより生理的な状態で調べた報告は少なく、未だ明らかでない点が多い。我々は、心不全モデル動物を作成し、対照群と比較することにより、心不全時に生じる細胞内Ca2+動態異常の分子メカニズムを解明することを目的としている。 平成24年度は心不全モデルである横行大動脈狭窄による圧不可モデルマウスの作成を行い、作成法の確立に尽力した。心不全においてはレニンアンジオテンシン系が亢進し治療薬としてACE阻害薬が著効することが知られており、対照群マウスのアルドステロン、レニン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンIIの測定を行った。測定した血中濃度 (n=4)はそれぞれ、アルドステロン 443±116 pg/ml、レニン 15.75±6.652 ng/ml/時間、1375±330.4 pg/ml、2450±412.3 pg/mlであった。また、平成24年11月に米国ロサンゼルスで開催された米国心臓学会に参加することで、国内外の同じフィールドの研究者たちと討論する機会を得られた。 対照群である正常マウスのデータを正確に採取し手法に習熟しておくことで、貴重な心不全モデルである横行大動脈狭窄による圧不可モデルマウスのデータを正確に採取することが可能になり、かつより精度の高い比較検討が可能とし心不全進展の分子メカニズムの解明に導くことにつながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心不全モデル動物である横行大動脈狭窄による圧不可モデルマウス作成に難渋していることが達成を遅らせているが、ある程度のめどは立ってきている。対照群である正常マウスにおけるデータ採取は順調に進められており、また、米国心臓学会で得られた知見などをもとに新たな評価項目として、アルドステロン、レニン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンIIの測定を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度もある程度は予定した課題をクリアしていくことが可能であったが、やはり心不全モデル動物である横行大動脈狭窄による圧不可モデルマウス作成に難渋していることが達成を大きく遅らせてしまっていることは事実である。しかし、ある程度のめどは立ってきており、今後エフォート率を上げていくことで対応していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は最終年度であるため、不足しているデータを補うために試薬や各種抗体を必要に応じて購入する。また、研究成果を発表し、同じフィールドの研究者とその内容をディスカッションすることで研究成果のブラッシュアップを図るため、日本生理学会大会や日本循環器学会総会、海外で開催されるさまざまな学会をでの発表を試みる予定であり、そのための参加費などにも使用予定である。
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