研究課題
近年ニューロンの情報のやり取りの場であるシナプスにおいてアストロサイトがその情報伝達に対し、積極的に影響を与えていることが明らかになってきた。そのため、アストロサイトがシナプスに対しどのような影響を与えるかを検討することは、実際の脳でのシナプス制御機構を解明するために非常に重要な知見を与える。本研究では、in vivoにおけるアストロサイトのシナプス形成への影響を解析することを目的としている。平成23年度から平成24年度にかけてはシナプス形成機構の解析のためのGFP融合PDS-95のアデノウイルス発現システム及び標的細胞からのmRNAを回収するためのGFP融合L10A発現システムを構築し、これが培養系で使用可能であることを確認した。また、平成25年度においては、これがin vivoにおいて使用可能であることを確認し、それに成功した。さらにアストロサイトの活動を生体にて抑制的に制御することを検討するために、非侵襲的な実験系の構築を目的として薬物感受性Cl-イオンチャネルを発現するトランスジェニックマウスの作製を開始し、動物個体内での発現を解析したが、目的に合致するトランスジェニックマウスの作出には至らなかった。そこで、別系統の病態モデルマウスを利用し、そのマウスも併せて解析を行った。この動物モデルでは、今まで、異常が検出される時期が発症時期である12週齢以後であったが、本研究により、無症状期である3週から4週齢にはアストロサイトにおいて異常が検出された。そのため、培養グリア細胞及び各週齢のマウス脳のマイクロアレイなどを含めた各種解析を行い、アストロサイトの変性に由来すると予想される因子の検出に成功した。今後は、Mlc1―tTAマウスの利用によりTetシステムを用いた発現制御を含めてin vivoにおけるアストロサイトの長期的制御を行う。
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