GnRHニューロンは下垂体から黄体形成ホルモン分泌を引き起こし排卵を制御している。GABAがGnRHニューロンでは興奮性に作用しているという性質に注目し、独自に作成したKCC2を過剰発現させることによりGnRH ニューロンのみで特定の時期にGABA作用を興奮性から抑制性に可逆的に変化させることができるGnRH-tTA::KCC2-tetOマウスを用いて、GnRHニューロンの制御における興奮性GABA入力の役割について検討を行った。 KCC2の過剰発現により、GnRHニューロンが示すCa2+オシレーションやその同期に変化がみられるか調べるために、GnRH-tTA::KCC2-tetOマウスとtetO-ChR2(C128S)-EYFPノックインマウスまたはBACトランスジェニックマウスをかけあわせ、GnRHニューロンの可視化を行った。ノックイン、BACトランスジェニックマウスともにドキシサイクリン投与中止(DOX-OFF)させてもEYFP蛍光の発現がほとんどみられなかったが、交配中からDOX-OFFにすることで多くのGnRHニューロンでEYFP蛍光の発現が認められた。このマウスの視床下部スライス標本を用いてCa2+オシレーションを記録するために、Ca2+蛍光指示薬Rhod3のbath loadingまたはbolus loadingを行ったが、GnRHニューロンにloadすることができなかった。loadされた他の細胞からはCa2+オシレーションを記録できた。loading条件を検討したが改善されなかったため、今後はパッチクランプ法によりGnRHニューロンの性質の変化を検討する。また、GnRH-tTA::KCC2-tetO:: tetO-ChR2(C128S)-EYFPマウスを作成することが出来たので、このマウスを用いて光によりGnRHニューロンの活動を制御できるか検討を行う。
|