研究課題/領域番号 |
23790287
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
柴田 圭輔 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50580411)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | In vivo イメージング / 神経障害性疼痛 / グリア細胞 / 生薬 |
研究概要 |
本研究は、神経障害性疼痛時の脊髄グリア細胞の形態および機能変化を in vivo イメージングし、グリア細胞の側面からニューロン-グリア細胞連関異常を解明することを目的としている。初年度にあたる本年度は、アストロサイト及びミクログリア特異的蛋白質である GFAP 及び Iba1 のプロモーター制御下に緑色蛍光蛋白質 (GFP) を発現する GFAP- 及び Iba1-GFP マウスの導入及び繁殖と、二光子励起レーザー顕微鏡を用いた各種グリア細胞の in vivo イメージング系の立ち上げに取り組んだ。本年度の成果は以下の通りである。1.GFAP- 及び Iba1-GFP マウスの導入及び繁殖に成功した。2.二光子励起レーザー顕微鏡を用いた in vivo イメージング実験系を整えた。3.Iba1-GFP マウスの大脳皮質でミクログリア in vivo イメージングに成功した。4.脊椎固定装置(ステージ角度調節が可能であり、容易に脊髄後角の灰白質にアプローチ出来る)を新しくカスタマイズした。5.Iba1-GFP マウスの脊髄でミクログリアの in vivo イメージングに成功した。Iba1-GFP マウスの脊髄でミクログリアの in vivo イメージングに成功したことは大きな進展であった。しかし、次項以降に記したように、脊髄でのin vivo イメージングは現在も非常に不安定である。また、現在使用している GFAP-GFP マウスは GFP 蛍光シグナルが弱いため、アストロサイトの形態を観察出来なかった。次年度は、これらの課題に早急に取り組み、脊髄での in vivo イメージング系の確立を急ぐ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の2点以外は順調に進展している。1.観察窓の形成手術(骨は励起光を散乱及び吸収するため、脳や脊髄では観察部位の骨を切除する、あるいは、薄く削る)は難易度が高く、少しの物理的刺激でグリア細胞は活性化し、組織の浮腫が起こってしまう。従って、グリア細胞の形態及び機能変化を正確にイメージングするには、組織侵襲を極限まで減らす為の熟練した技術を要する。特に、脊髄での in vivo イメージング法は未だ広く知られていないため、現在、試行錯誤しながら技術を習得している段階である。2.現在実験に使用しているヘテロ接合型の GFAP-GFP マウスでは、 GFP 蛍光シグナル強度が予想以上に弱かったため、アストロサイトのイメージングが予定通り進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先ず、脊髄での安定した in vivo イメージング法の確立と GFAP-GFP マウスを用いた in vivo イメージングの可否の検討を行う。さらに、大脳皮質での in vivo イメージングを並行して行い、神経障害性疼痛時の脊髄グリア細胞の形態および機能変化の解析を加速するための基盤技術・知見を蓄積する。脊髄のグリア細胞の形態及び機能変化を in vivo イメージングで正確に捉えるには、上述のように、観察窓の形成手術時に組織へのダメージを極限まで減らすための技術の向上が必須である。加えて、抗炎症薬の投与や手術部位の冷却により、組織ダメージは大きく改善されることが予想され、イメージングの安定性が大幅に向上されることが期待出来る。また、GFAP-GFP マウスの GFP 蛍光シグナルが検出できない理由として、ヘテロ接合型を使用していたことが考えられる。現在、既にホモ接合型の作製に着手しており、マウスが作製され次第、GFP 蛍光シグナルの検出が可能か否かを検討する。もし、ホモ接合型マウスでも GFP 蛍光シグナルの検出が出来ない場合には、遺伝子導入ベクターによりアストロサイト特異的に GFP を発現させる方法をとる (Lee et al., Glia, 2008, Apr;56(5):481-93.)。その後は、次年度の計画通り、神経障害性疼痛形成期では脊髄ミクログリアの、維持期には脊髄アストロサイトの特性に着目し、神経障害性疼痛の分子病態との関連性の解明を進める。また、神経障害性疼痛の脊髄グリア細胞の形態及び機能異常に対する候補治療薬の作用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は以下の通り研究費を使用する。遺伝子改変動物の系統維持費(100,000円)、麻酔薬及びその他の試薬等の消耗品(300,000円)、実験動物購入費(100,000円)、合計(500,000円)また、前年度繰り越し金(予定通り進展しなかったアストロサイトのイメージング用の試薬の購入費)は、主に当該実験に使用し、一部を二光子励起レーザー顕微鏡の整備及び周辺器具(バッファー灌流装置)の購入に充てる予定である。
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