研究課題/領域番号 |
23790287
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
柴田 圭輔 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50580411)
|
キーワード | In vivo イメージング / 神経障害性疼痛 / グリア細胞 / 生薬 |
研究概要 |
本研究は、神経障害性疼痛時の脊髄グリア細胞の形態および機能変化を in vivo イメージングし、グリア細胞の側面からニューロン-グリア細胞連関異常を解明することを目的としている。 初年度(23年度)は、アストロサイト及びミクログリア特異的蛋白質である GFAP 及び Iba1 のプロモーター制御下に緑色蛍光蛋白質 (GFP) を発現する GFAP- 及び Iba1-GFP マウスの導入及び繁殖と、二光子励起レーザー顕微鏡を用いた各種グリア細胞の in vivo イメージング系の立ち上げに取り組み以下の成果をあげた。 1.GFAP- 及び Iba1-GFP マウスの導入及び繁殖に成功した。2.二光子励起レーザー顕微鏡を用いた in vivo イメージング実験系を整えた。3.Iba1-GFP マウスの大脳皮質でミクログリア in vivo イメージングに成功した。4.脊椎固定装置(ステージ角度調節が可能であり、容易に脊髄後角の灰白質にアプローチ出来る)を新しくカスタマイズした。5.Iba1-GFP マウスの脊髄でミクログリアの in vivo イメージングに成功した。 本年度(24年度)は、Iba1-GFP マウスの脊髄でミクログリアの in vivo イメージングを中心に据え、Iba1-GFP マウスの大脳皮質でのミクログリアの挙動についても解析した。またGFAP-GFPマウスの脊髄及び大脳皮質でアストロサイトの挙動を観察し、カルシウムイメージングにより機能的な解析も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の2点以外は順調に進展している。 1.観察窓の形成手術(骨は励起光を散乱及び吸収するため、脳や脊髄では観察部位の骨を切除する、あるいは、薄く削る)を習得し、開頭手術による物理的ダメージの軽減に成功した。しかし、脊髄での in vivo イメージング法は未だ広く知られていないため、現在、試行錯誤している段階である。 2.アストロサイトの細胞内Ca-oscillationは麻酔によって大きく影響されてしまうことが発覚し、麻酔の種類や濃度、観察時間条件設定に時間を費やした。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は神経障害性疼痛モデルを用いて、グルア細胞の挙動を時間的・空間的に検討する。先ず、脊髄における観察窓の形成手術を安定させ、脊髄におけるin vivo イメージングや、また GFAP-GFP マウスを用いた脊髄 in vivo イメージングを行う。さらに、大脳皮質での in vivo イメージングを並行して行い、これまで蓄積した基盤技術・知見を基に蓄積神経障害性疼痛時の脊髄グリア細胞の形態および機能変化の解析をする。神経障害性疼痛形成期では脊髄ミクログリアの、維持期には脊髄アストロサイトの特性に着目し、神経障害性疼痛の分子病態との関連性の解明を進める。また、ブシ末投与したときの脊髄グリア細胞の形態及び機能異常に対する影響を検討し、神経障害性疼痛に対する鎮痛メカニズムを探る。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|