アドレノメデュリン(AM)は、血管拡張作用をはじめ、抗酸化作用、抗炎症作用、抗動脈硬化作用など多彩な生理活性を有する内因性ペプチドである。近年、動脈硬化および心血管疾患発症の原因としてメタボリックシンドロームの関与が注目されているが、メタボリックシンドロームの発症や病態におけるAMの意義は明らかでない。本研究では、AM-RAMP2システムによる肝臓脂質代謝制御とメタボリックシンドロームにおける意義を解明し、新たな治療法開発への展開をはかることを目的とした。 平成24年度は、AMの受容体活性調節タンパクであるRAMP2に着目し、RAMP2floxedマウスと脂肪細胞特異的aP2Creマウスを交配して、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウスを新たに作成し、AM-RAMP2システムの脂肪細胞特異的な生理作用について解析を行った。普通食投与時において、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウスは野生型マウスと比較して、体重の増加と白色脂肪組織重量の増加が認められた。また、白色脂肪細胞の肥大と白色脂肪組織への炎症性細胞浸潤の増加が見られた。白色脂肪組織の遺伝子発現解析より、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウスでは脂質代謝関連遺伝子の発現低下が認められた。以上の結果より、AM-RAMP2システムが脂肪細胞の脂質代謝制御に関与している可能性が示唆され、さらに詳細なメカニズムを解明することによりAM-RAMP2システムが治療法の有用な標的となるか明らかになると考える。
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