• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

Dysbindinによる神経伝達物質受容体輸送メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 23790291
研究機関名古屋大学

研究代表者

飯塚 幸彦  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00365404)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード統合失調症 / 精神神経疾患
研究概要

統合失調症の発症原因、発症機序およびその分子病態は現在もなお不明な点が多く、解明に向け研究の推進が望まれている。発症要因としては、環境因子の関与や神経発達期の異常も考えられているが、双生児研究により、発症には何らかの遺伝的因子が働くことが知られており、連鎖解析や関連解析などの遺伝学的解析から、発症脆弱性因子の一つとしてDysbindin遺伝子が同定されている。Dysbindinと関連し、それ自体も発症脆弱性因子として発症機序ならびに病態生理に強く関与が示されてるDISC1について、プロテオミクスの手法により相互作用分子の同定を行った。その結果、Dysbindinと同様に、細胞内輸送(エンドサイトーシス、エキソサイトーシス)に関与する分子を多数同定した。また、作用分子の一つにV型H+-ATPase(V-ATPase)を同定した。V-ATPaseは、リソソーム、エンドソーム、ゴルジ体、シナプス小胞などの細胞内膜に存在し、細胞液側から、内膜の内側にH+を輸送するタンパク質複合体である。現在は、このV-ATPaseに着目し、神経細胞内でのDISC1との作用機構、シナプス小胞の動態などを、我々の研究室にて作製したDISC1ノックアウトマウスを用いて解析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Dysbindinと同様に、統合失調症脆弱性因子であり細胞内輸送に関連する分子であるDISC1について、プロテオミクスの手法により相互作用分子の同定を行ったところ、神経伝達物質輸送に必須であるシナプス小胞の膜分子であるV-ATPaseを同定することができた。

今後の研究の推進方策

DISC1ノックアウトマウス由来の培養神経細胞およびマウス脳内において、シナプス小胞輸送に異常があるかどうかを解析する。また、統合失調症の分子病態解明のモデルとしてDISC1ノックアウトマウスに作業記憶や社会性、不安症状といった認知機能異常が起こるかどうかを、シナプス小胞輸送をもとに解析するとともに、脳内での責任領域や神経回路を特定し、行動薬理学的に解析していく。

次年度の研究費の使用計画

上記研究推進方策に対して、細胞培養用試薬、分子生物学的試薬、免疫抗体、薬理学的試薬、細胞観察用試薬・器具等を追加的に必要とします。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 統合失調症の動物モデル2012

    • 著者名/発表者名
      黒田啓介, 飯塚幸彦, 貝淵弘三
    • 雑誌名

      実験医学増刊号 in vivo実験医学によるサイエンスと疾患解明

      巻: 30 ページ: 231-235

  • [雑誌論文] Behavioral alterations associated with targeted disruption of exons 2 and 3 of the DISC1 gene in the mouse.2011

    • 著者名/発表者名
      Kuroda K, Yamada S, Tanaka M, Iizuka M, Yano H, Mori D, Tsuboi D, Nishioka T, Namba T, Iizuka Y, et al.
    • 雑誌名

      Hum. Mol. Genet.

      巻: 20 ページ: 4666-4683

    • DOI

      10.1093/hmg/ddr400

    • 査読あり
  • [学会発表] Proteomic analysis reveals novel binging partner of DISC1, a candidate risk gene of Schizophrenia.2011

    • 著者名/発表者名
      Iizuka Y, Kinoshita T, Tsuboi D, Mori D, Kuroda K, and Kaibuchi K
    • 学会等名
      第43回日本神経学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      2011年9月16日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi