研究課題/領域番号 |
23790293
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
梶本 武利 神戸大学, 大学院医学研究科, 助教 (00509953)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | プロテインキナーゼC / スフィンゴシン-1-リン酸 |
研究概要 |
本研究では、申請者のPKC活性化の時空間制御機構に関する過去の成果を発展させ、またPKC活性化の生細胞内での時空間動態解析を可能にするCKAR(C Kinase Activity Reporter)を有効に利用することで、新たなPKCシグナロソームを同定し、細胞内局在、動態の意義に重点を置き、シグナロソームの機能におけるPKCの役割の詳細を解明することを目的としている。 平成23年度は、シグナロソームとして、TRP-PKCシグナロソームに加え、申請者が現在所属している研究室の主な研究対象であるスフィンゴシンキナーゼに焦点を当て、PKCとTRPチャネルおよびPKCとスフィンゴシンキナーゼのシグナロソームの可能性の検討を行った。 まずPKCとTRPチャネルとの関連性を調べるために、TRPチャネルの活性化におけるPKC阻害剤の効果を検討した。この際各種刺激によるTRPチャネルの局所的な活性化はFluo-4を用いたカルシウムイメージングにより検出した。結果、TRPC3の活性化の程度にはPKCが抑制的に働く一方で活性化の頻度にはPKCが促進的に作用することが明らかとなった。またPKCとスフィンゴシンキナーゼとの関連性を調べるために、各種生理刺激による細胞内局所でのPKCの活性化をCKARを用いてモニターし、このPKCの活性化に対するスフィンゴシンキナーゼ阻害剤の効果を検討した。その結果、PKCの活性化にはスフィンゴシンキナーゼの活性つまりS1Pの産生が必要であることが明らかとなった。 以上の結果は、TRPチャネルの活性化の上流におけるPKCの役割の重要性、およびPKCの活性化におけるスフィンゴシンキナーゼによって産生されるS1Pの重要性を示しており、PKC-TRPシグナロソーム、およびPKC-スフィンゴシンキナーゼシグナロソームの細胞内局所での機能が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、年度途中に研究機関の移動があり、PKCが関与するシグナロソームの対象としてTRP-PKCシグナロソームに加え、スフィンゴシンキナーゼ-PKCシグナロソームの検討も行った。結果、TRP-PKCシグナロソーム、スフィンゴシンキナーゼ-PKCシグナロソームのいずれにおいても両者の関連性を見出すことができた。特にスフィンゴシンキナーゼ-PKCシグナロソームにおいては、申請者の過去の研究成果であるPKC活性化の生細胞内での時空間動態解析を可能にするCKAR(C Kinase Activity Reporter)を有効に活用するができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、PKC活性化の生細胞内での時空間動態解析を可能にするCKAR(C Kinase Activity Reporter)の活用が期待できるスフィンゴシンキナーゼ-PKCシグナロソームについてさらに詳細なメカニズムの解明を進め、スフィンゴシンキナーゼ-PKCシグナロソームの同定、スフィンゴシンキナーゼ-PKC相互作用に重要な分子内ドメインの同定、スフィンゴシンキナーゼ-PKCシグナロソームの機能解明までを明らかにすることを目標とする。 具体的には、まずスフィンゴシンキナーゼと10種類のPKC各分子種について生細胞内での相互作用を高感度FRETイメージングシステム下で網羅的に解析することで細胞内局所での相互作用を検討する。またPKCとS1Pとの相互作用についても同様にFRET法を用いて検討する。次にPKC のタンパク質間相互作用に重要だと予想されるドメインやアミノ酸を欠失させた変異体を作製し、培養細胞系に発現させ、FRET法を用いて相互作用タンパク質との結合に必要なPKC分子内ドメインおよびアミノ酸の同定を行う。さらに同定したPKC のタンパク質間相互作用に重要なドメインやアミノ酸を欠失させた変異体を培養細胞系に発現させ、さらにPKCに選択的なsiRNAを組み合わせることで、スフィンゴシンキナーゼ(あるいはS1P)-PKCシグナロソームが形成出来ない状態を構築した上で、細胞内局所におけるS1Pの下流でのPKCの活性化をCKARを用いて検討することで、細胞内局所でのPKC活性化におけるPKC-スフィンゴシンキナーゼシグナロソームの機能的な重要性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に引き続き、平成24年度の研究費は主に消耗品費として使用する。その内訳は、遺伝子の欠失変異体および点変異体の作製のためのプライマー、遺伝子導入試薬、スフィンゴシンキナーゼやPKCの阻害剤などを含む「一般試薬」として320,000円、細胞培養液や血清などを含む「タンパク性試薬」として150,000円、PKC-スフィンゴシンキナーゼシグナロソームの細胞内部位の同定に用いる細胞内小器官に対するマーカー抗体および色素や蛍光色素標識二次抗体などを含む「抗体および色素類」として250,000円、遺伝子組み換え実験に用いるキット類やsiRNAの合成などを含む「キット類」として100,000円、ライブセルイメージングに用いる顕微鏡観察用ガラスボトム培養ディッシュなどを含む「ガラス器具およびプラスチック類」として150000円である。また学会などでこれまでの成果を発表するために30,000円を旅費として使用する。
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