研究課題/領域番号 |
23790306
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 信智 星薬科大学, 薬学部, 助手 (40409363)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アクアポリン / 腸管 |
研究概要 |
食の欧米化や高齢者の増加などにより、近年、便秘症の患者が急増している。現在、便秘症に対して種々の瀉下剤が用いられているが、依然、患者のQOLは低く、新規メカニズムを有する瀉下剤の開発が切望されている。そこで申請者らは、体内の水の輸送に重要な役割を担っている水チャネルである腸管のアクアポリン(AQPs)に着目し、新規瀉下剤の開発を目指した。まず、腸管の水輸送におけるAQP3の役割およびその発現変動メカニズムについて、現在用いられている瀉下剤(MgSO4、ビサコジル)を用いて調べた。その結果、MgSO4の瀉下作用が単に腸管内の浸透圧の変化のみでもたらされるものではなく、AQP3の発現量の増加を伴って、極めて合理的に生じている可能性が示唆された。また、MgSO4は細胞内Mg濃度を増加させることにより、アデニル酸シクラーゼおよびPKAを活性化し、CREBのリン酸化の亢進を介して、AQP3の発現量を増加させることが明らかとなった。一方、ビサコジルは大腸のAQP3の発現量を低下させることにより、腸管側から血管側への水の移動を抑制し、瀉下作用を示していることがわかった。さらに、ビサコジルは直接、大腸のマクロファージを活性化させることにより、マクロファージのPGE2の産生および分泌を亢進すること、およびPGE2はパラクライン因子として大腸粘膜上皮細胞に作用し、AQP3の発現を低下させていることが明らかとなった。これらの知見は、大腸のAQP3が新規瀉下剤のターゲット分子となり得ることを意味している。したがって、AQP3発現制御機構をより詳細に解明することにより、新規瀉下剤の開発が可能と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らは、体内の水の輸送に重要な役割を担っている水チャネルである腸管のアクアポリン(AQPs)に着目し、新規瀉下剤の開発を目指した。その結果、大腸にはAQP3が優位に発現しており、その発現の変動により、糞中水分量が変動することが明らにした。また、種々の瀉下剤による大腸AQP3の発現増加・低下メカニズムについても解明した。これらの知見は、新規瀉下剤を開発する上で、非常に有用な情報となり得る。さらに、本知見は、大腸のAQP3が新規瀉下剤のターゲット分子となり得ることを意味している。したがって、今後、AQP3発現制御機構をより詳細に解明することにより、新規瀉下剤の開発が可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最近、種々のチャネルやトランスポーターの発現が、核内受容体や転写因子などにより制御されていることが解明さている。したがって、大腸のAQP3の発現も核内受容体などにより発現が変動する可能性が十分に考えられる。今後、これらについても着目し、新規AQP3発現変動因子を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラット組織あるいはHT-29細胞からウエスタンブロッティングおよびPCRを行うに当たり、試薬代および消耗品が必要となる。また、ノックアウトマウスの作製、DNAマイクロアレイ解析行う予定である。
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