平成23年度の研究により、新規自然発症型2型糖尿病モデルマウスであるTsumura Suzuki Obese Diabetes (TSOD) マウスの心筋においてオートファジー・リソソーム経路が活性化していることを明らかにした。平成24年度では、2型糖尿病発症前である1か月齢のTSODマウスの心筋におけるオートファジー関連タンパクの発現解析を行い、病態進行との関連性について評価した。また、遺伝的背景の異なる2型糖尿病モデルマウスdb/dbを用い、心筋におけるオートファジー関連タンパクの発現解析を行った。 顕著な2型糖尿病所見を呈する7か月齢のTSODマウスの心筋では、オートファジーの誘導に関わるAtg12-Atg5複合体およびK63結合型ポリユビキチン化タンパクの発現量が同月齢の対照群(Tsumura Suzuki Non-Obesity; TSNO)と比べて有意に増加していた。一方、1か月齢のTSODマウスは同月齢のTSNOマウスと比べて血中のグルコース、総コレステロール、トリグリセリド、インスリン、レプチン濃度に何ら変化は認められないことに加え、心筋におけるオートファジー関連タンパク発現量も対照群と比べて有意な差は認められなかった。3か月齢のdb/dbマウスは顕著な2型糖尿病所見を呈し、その重症度は7か月齢のTSODマウスとほぼ同程度であることを確認した。db/dbマウスの心筋におけるオートファジー関連タンパク発現量は対照群であるdb/+マウスと比べて有意な変化は認められなかった。これらの結果から、TSODマウスの心筋では2型糖尿病の進行に伴ってオートファジー活性が高まることが示唆された。また、レプチン受容体欠損型であるdb/dbマウスの心筋では、顕著な2型糖尿病所見を呈していても、オートファジー活性が認められないことが明らかとなった。
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