研究課題/領域番号 |
23790317
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤倉 大輔 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 博士研究員 (70547794)
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キーワード | DR6 / T細胞 / B細胞 |
研究概要 |
本年度は、前年度に施行された検討結果により単離された候補因子の機能解析および発現分布解析を行った。前年度のhCD40-DR6キメラタンパク質を用いたクロスリンク法により、DR6のクロスリンクはTCR刺激時におけるT細胞のIL2産生制御効果が明らかにされたが、同様に、単離された候補因子の抗原提示細胞上における過剰発現もまた、抗原提示刺激におけるT細胞のIL2産生に対して同様の制御効果を示すことが明らかとなった。この結果は単離された候補因子が、これまでの報告から予測されるDR6リガンドの機能的性質を持つ事を示す。次に、前年度においてDR6プローブを用いた検討から、内因性DR6リガンドは、マウスの脾臓内におけるレアなポピュレーションに特異的に発現する事が示されたが、候補因子に対する抗体を用いた同様の検討においても、単離された候補因子もまた同様の発現パターンを示す事が明らかにされた。これらの結果は、マウスの脾臓内におけるDR6の細胞種特異的な結合親和性は、単離された候補因子の発現に依存する事を示唆する。また、上記のポピュレーションをマウス個体内から単離し、活性化刺激を加え、活性化刺激によるDR6プローブと細胞との結合親和性における影響を評価したところ、定常時においては低値に保たれたDR6プローブと細胞との結合親和性は、活性化時においてより増強されることが明らかとなった。この結果から候補因子とDR6との結合は免疫活性化時において強く誘導される事が示された。これらの候補因子の分子機能およびマウス個体内における発現変動に関する知見は、これまでのDR6ノックアウトマウスを用いた解析結果報告による、DR6リガンド/DR6結合は免疫活性化時において働くとされる推測と一致する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はDR6リガンド候補因子の分子機能解析および動物個体内での役割の検討を目指した。これまでに、単離された候補因子の機能が、これまでに予測されていたDR6リガンドの機能と一致する結果が得られており、単離された候補因子が真にDR6リガンドである可能性が強くサポートされつつある。また、抗DR6抗体および抗DR6リガンド抗体が作製され、動物個体内におけるDR6およびDR6リガンド候補因子の発現細胞群が明らかにされた。更に、in vitro系による解析結果から、この候補因子とDR6の結合が抗原提示時におけるT細胞の活性化に関与する事が示唆された。一方、発症ステージに伴い候補因子の発現異常が認められる疾患モデルマウスの同定にいたったが、この疾患モデルマウスの発症には数ヶ月を要する事が明らかとなり、疾患モデルマウスにおける検討には着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度の理由に示したとおり、疾患の発症に伴いDR6リガンド候補因子の発現異常が認められる疾患モデルマウスの同定に至ったが、当初の予想に反し、このモデルマウスの発症には数ヶ月を要する事が明らかとなった。しかしながら、発症直前期のステージにおけるマウスの購入が可能であることから、これらのマウスを購入し、解析に供する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策に示した通り、次年度は発症直前期の疾患モデルマウスにおける候補因子の解析を行い、得られた知見にこれまでに得られた知見を併せて、国際学術雑誌における公表を目指す。このため、前年度に発生した使用残については、これら疾患モデルマウスの購入・飼育費・解析に用いられる試薬購入費および国際学術雑誌における公表にあたっての費用に充当する。
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