研究課題/領域番号 |
23790320
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 美紀 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (00455784)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ヘム / 転写因子 |
研究概要 |
本研究は、ヘムに制御されるBach2の領域を同定しヘムによるBach2の制御機構を明らかにすることで、液性免疫応答におけるヘムの役割を示すことを目的とした。 本年度は、ヘムに制御されるBach2のアミノ酸領域を同定するため、まずBach2の331-839アミノ酸領域を大腸菌にて発現・精製し、プロテアーゼによる限定分解をおこなった。その結果、Bach2の331-520領域がその候補と考えられる結果を得た。 この領域がヘム制御され、かつBach2の転写能に重要であることを示すため、大腸菌発現系にてBach2の331-520アミノ酸領域を発現させ、3種類のカラム(アフィニティーカラム、イオン交換カラム、ゲル濾過カラム)を使用することで、この領域の精製方法を確立した。精製されたBach2タンパク質を用い分光学解析、円偏光二色性スペクトル(Circular Dichroismスペクトル)解析を行い、この領域がヘムと直接結合し、更に天然変性領域である可能性を示す結果を得た。加えて、ヘム結合に伴い、この領域が立体構造を変化させることを示唆する結果もでつつある。加えて、この領域(331-520)について生体内での重要性を示すため、この領域を欠損したトランスジェニックマウスも作成中である。また、培養細胞を用い、この領域が欠損したBach2の構築についてレポーターアッセイを行い、この領域がBach2の転写抑制のに関与する可能性を示唆する結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、本研究においてBach2タンパク質全長(1-839アミノ酸)の発現及び精製の条件を確立することを試みたが困難であった。そこでBach2の様々の領域のBach2の大腸菌発現系を作成し、Bach2全長に近い領域として、331-839領域について発現および、精製条件を確立することができた。様々な領域については、ヘム結合様式を検討するため分光学解析も行った。分光学解析と、331-839領域についての限定分解を行った結果から、ヘムに制御されるとおもわれる領域を同定することができた。同定されたヘムに制御される領域については、高純度でタンパク質を精製できることができため、様々な機器解析(分光学解析、動的光散乱測定など)を行える段階まで進めることができたという点で順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、まずBach2におけるヘムに制御される領域が、ヘム結合にともなって構造変化を生じるかについて、さらに機器解析を行い明らかにしていく。具体的には、質量分析装置を用い、ヘム存在化、非存在化におけるBach2の化学修飾の変化を検討する。更に、現在作成中の331-520領域欠損マウスの解析を行うことで、Bach2におけるヘム制御領域の重要性を明らかにしていく予定である。同時に、培養細胞を用いた検討も行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画としては、タンパク質の精製に必要なカラム、担体およびタンパク質の化学修飾試薬等について使用する予定である。また培養細胞およびトランスジェニックマウスの解析のために、培養試薬、FACS解析用抗体、定量PCR試薬といった試薬を使用する。研究成果報告として、学会にも参加予定である。
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