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2011 年度 実施状況報告書

新規mTOR活性制御因子およびシグナル伝達因子のプロテオーム解析

研究課題

研究課題/領域番号 23790345
研究機関北里大学

研究代表者

佐藤 龍洋  北里大学, 薬学部, 助教 (70547893)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードmTOR / リン酸化プロテオーム / Rictor
研究概要

mTORは生体機能に重要な役割を果たすタンパク質である。その機能異常は、がんや老化といった症状を引き起こす。しかしながら、mTORシグナルの分子機構はまだ完全には解明されていない。そこで私たちは2つのアプローチを行い、mTOR分子機構の解析を行った。1.mTORはさまざまなたんぱく質をリン酸化修飾することで細胞機能を制御している。そこで私たちはmTOR阻害剤を用い、これによりリン酸化が低下する因子を網羅的に検出するリン酸化プロテオーム解析を行った。この結果、多数のスポットを検出することができた。また、これらのスポットをLC-MS/MS装置を用いて解析した結果、これらのスポットに含まれるたんぱく質を同定することに成功した。これらの因子はmTORの多彩な機能を説明する手掛かりとして期待できる。また、mTOR機能の異常により引き起こされるさまざまな疾患の治療のターゲットとしても期待できる。2.mTORが構成する複合体の構成因子mTOR、Raptor、Rictorの新規結合タンパク質を探索し、mTOR機能の制御機構の解析を試みた。その結果、mTOR、Raptor、Rictorのすべてにおいてその結合タンパク質を同定することに成功した。また、Rictorにおいてはこれまでに報告のない新規結合タンパク質が含まれていることがわかった。この新規結合タンパク質は細胞骨格や細胞運動に関与することが知られているが、mTOR-Rictor複合体もまた細胞運動やがん細胞転移等に関与することが示唆されており、mTOR分子機構の解明の進展が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.プロテオーム解析では既知のmTORシグナル伝達因子の同定の他に、新規のmTORシグナル伝達候補因子を複数同定することに成功している。また、これらの因子についてさらに解析するためのcDNAクローニングにも成功している。2.mTOR複合体の結合タンパク質として、既知のたんぱく質以外に新規の結合タンパク質を同定している。これらの2つの研究はともに当初の計画通りであり、mTOR機能解析の手掛かりとなる因子の「探索」に成功したといえる。このため、次のステップである「解析」にスムーズに移行することが可能であり、本研究は順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

1.プロテオーム解析について同定した複数の因子についてはcDNAを用いて、細胞内にそのたんぱく質を強制発現させ、mTOR機能への関与を解析していく。まずはじめに、mTORによって直接リン酸化される基質であるか、間接的にリン酸化される下流因子であるかについて検討する。また、リン酸化の重要性について検討していくため、リン酸化部位の同定を行う。最後にヒト細胞を用いて生体内における意義について検討を行っていく。2.結合タンパク質についてはそれがmTOR複合体とともに機能するかについて検討を行う。mTORは複数のタンパク質と結合して複合体を形成するので、新規結合タンパク質がどのタンパク質に結合して、どういう機能を行う可能性が考えられるか詳細に検討する。また、細胞内での局在についても解析し、mTOR複合体と細胞運動制御における関係について検討する。

次年度の研究費の使用計画

同定したタンパク質とその遺伝子について、培養細胞を用いて検討を行う予定である。このため、細胞培養関連、タンパク質解析関連の消耗品に次年度研究費の大部分を使用する。他には、プロテオーム解析の検討、情報収集に少額を使用する予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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