研究課題/領域番号 |
23790347
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
常陸 圭介 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (10508469)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | microRNA / マイオスタチン / 骨格筋 |
研究概要 |
マイオスタチンKOマウスは、骨格筋の著しい肥大を示す。我々はこれまでに、マイオスタチンKOマウスの骨格筋で特異的に発現が増加している複数のmicroRNAを同定している。本研究では、これらのmicroRNAによる骨格筋量調節作用を明らかにし、microRNAを難治性筋疾患の治療へと応用する事を目的とする。 我々が同定したmicroRNAには、骨格筋細胞の分化とIGF/AKTシグナルへの関わりが報告されているmiR-486が含まれていた。そこで本年度はこのmiR-486の解析を中心に研究を行った。まず、miR-486の筋量調節作用をin vitroにおいて検討したところ、miR-486の遺伝子導入によりC2C12細胞の筋管の直径が増加する事が観察された。次に、miR-486の標的遺伝子の探索を行った結果、miR-486の標的として知られるPTENの発現が、マイオスタチンKOマウスの前頸骨筋で減少している事が明らかとなった。また、miR-486のプロモーターの解析を行い、miR-486の発現がマイオスタチンシグナルにより転写レベルで制御されている事を明らかにした。 さらに本年度は、microRNAによる筋量調節作用を骨格筋で検証するために、マウス骨格筋へのmicroRNAの遺伝子導入法の検討を行った。レンチウイルス、アテロコラーゲン、エレクトロポレーションの3種の方法で遺伝子導入を試みた結果、エレクトロポレーションを用いた場合に、高頻度にmicroRNAを骨格筋へと遺伝子導入できる事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画に従いmicroRNAの標的遺伝子の解析を行い、miR-486の標的遺伝子としてPTENを同定した。miR-486に関してはin vitroで筋量調節作用を確認する事ができた。また、miR-486の発現がマイオスタチンシグナルにより転写レベルで制御されている事が明らかとなり、次年度に予定していたmicroRNA量の調節機構の解析は本年度でおおむね達成できた。エレクトロポレーションを用いて高頻度に骨格筋へと遺伝子導入する手法の確立には成功したが、microRNAの作用をin vivoで検証するには至っておらず、引き続き次年度で取り組む予定である。よって、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で骨格筋へのmicroRNAの導入方法が確立したため、次年度はこの手法を用いてmicroRNAによる骨格筋量調節作用をin vivoで検証する。骨格筋量を増加する作用がin vivoで認められたmicroRNAに関しては、筋ジストロフィーモデルマウスの骨格筋へと遺伝子導入を行い、microRNAにより疾患で減少した筋力の回復が可能であるかを検証する。また、本年度でmicroRNAの標的として同定したPTENに関して、microRNAによる標的遺伝子抑制機構を分子生物学的手法により詳細に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はmicroRNAによる骨格筋量調節作用を野生型マウスや疾患モデルマウスを用いて解析する予定である。よって、マウスの購入や維持に研究費を使用する。本年度は、microRNAによる標的遺伝子の探索が順調に進展したため、若干の未使用研究費が発生した。次年度では、microRNAによる標的遺伝子抑制機構をより詳細に解析するため、細胞培養に必要な試薬や分子生物学的解析に必要な試薬の購入に、本年度未使用の研究費と合わせて次年度の研究費を使用する。
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