平成24年度はゼブラフィッシュ視細胞脱落変異体であるGEP293の表現型解析を行ってきた。これまでの研究で、GEP263は繊毛の逆行性輸送A複合体の構成要素の遺伝子配列に変異が存在することを見出してきた。まず、共同研究によりGEP263の電子顕微鏡による解析を行った。鼻腔上皮の繊毛を電子顕微鏡観察したところ、GEP263変異体では、鼻腔上皮の繊毛の先端が膨らんだ様子が観察された。この結果は、逆行性輸送が阻害されたために、繊毛局在タンパクなどが繊毛の先端に蓄積したことの証明となる。これは、GEP263 視細胞の繊毛においてIFT88が蓄積していたことと一致する結果であった。また、電子顕微鏡観察により、GEP263では視細胞外節の構造が未発達であることが観察された。視細胞外節はトランスデューシンなど明暗順応に関係する蛋白質が局在する細胞内小器官であり、興味が持たれる。更に、最近、逆行性輸送との関連が示唆されているTulp蛋白質との関係をモルフォリノノックダウンにより解析を行っている。また、これまでに、Makと相互作用する分子として、プロテオミクス解析を行ってきた。現在、これらの中から明暗順応に関連する因子の探索を行っている。また、Makを含む繊毛キナーゼが繊毛における蛋白質輸送に重要であることを見出している。本研究により得られた結果を含め、現在GEP263の解析結果を論文発表する準備を進めている。
|