金属アレルギーは接触性皮膚炎の一つとして分類され、遅延型過敏反応と考えられている。近年の医療技術の進歩により生体材料として金属が多用され、それに伴い金属アレルギーの罹患者数は年々増加している。金属アレルギーの発症機序は不明な点が多く、ステロイドによる炎症緩和以外に治療法はなく、根治療は現時点では困難である。金属アレルギーと従来から報告されている接触性皮膚炎との違いについて分子レベルでの詳細な解析はなされていない。その理由としては、金属アレルギーにおける抗原提示細胞やT細胞、抗原ペプチドの同定が金属種ごとに包括的に進められていないことが挙げられる。そこで本研究では金属アレルギーの予防および診断に関する理論的基盤の確立を目指し、金属アレルギーの原因となる抗原とT細胞受容体を明らかにすることを目的とした。
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