研究課題
胃癌の発症や悪性度、あるいは組織型と関連して発現変動が報告されている約50の遺伝子について、32種類の消化管癌由来細胞株での発現解析を行ない、特に胃癌の組織型と関連しているものとして、CTSE遺伝子を同定した。5'-RACE法・Primer Walking RT-PCR・ESTパターン情報を組み合わせて、正確な転写開始部位を同定後に、その転写開始点の上流配列を増幅し、欠失変移を作製してLuciferase reporter assayを行ない、プロモーター領域を絞り込むことに成功した。複数の転写因子予測プログラムを組み合わせ、結合が想定される転写因子をリストアップしたが、候補遺伝子の制御に実際に関わっている転写因子の同定を現在も継続している。胃癌の外科手術切除・内視鏡的治療検体を用いて、CTSEの発現解析までを終了した。
2: おおむね順調に進展している
胃癌の組織型ならびに消化管分化のキー遺伝子としてCTSEの同定に成功し、その上流のプロモーター領域の絞り込みにも概ね成功している。また、CTSE遺伝子の発現制御におけるメチル化やヒストン修飾などエピジェネティックな機序の関与の解析についても、ほぼ終了した。しかし、これまで試行した幾つかの転写因子予測プログラムではCTSE発現の制御を担う転写因子は同定出来ておらず、難航している。一方、当初は平成24年度に予定していた胃癌の外科手術切除検体を用いたCTSE遺伝子の発現解析については早めに着手し、約120症例での発現解析を終了した。結果として、ほぼ予定通りの進捗状況である。
CTSE遺伝子の発現を制御する転写因子の同定を目指し、より新しい転写因子予測プログラムの使用を試みるととともに、様々な哺乳類動物のCTSE遺伝子上流配列の比較解析から、より重要なプロモーター領域の絞り込みを目指す予定である。また、当初の予定通り、より早期の段階での胃癌発症メカニズムの解明を目指し、内視鏡治療検体を用いたCTSE遺伝子の発現解析を行なう。この際には、CTSEのみではなく、MUC5AC・MUC2・MUC6・Cdx2・villinなどの様々な消化管分化マーカーの発現解析を同時に行なう予定である。
各種試薬代:135万円実験機器代:30万円その他(印刷費、投稿費など):25万円学会発表のための出張費:12万円免疫染色ほかの実験助手の雇用のための謝金:78万円
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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